【short_62】石敢當(いしがんどう)
投稿者:kana (210)
短編
2024/02/24
21:31
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先日、家の近くの桜並木を散歩していたら、とある一軒の家に目が留まった。
その家の門の横に、小さく【石敢當】と書かれた石碑が埋め込まれていたからだ。
「へぇ~、ここの人、沖縄出身の人かな?」そう思った。
『いしがんどう』と読むそれは、沖縄ではポピュラーな魔除けの石碑だ。
沖縄では魔物のことを『マジムン』と呼び、忌み嫌っているのだが、そんなマジムンには
『直進する』という特性があるため、例えばT字路やY字路など行き止まりがあっても直進してしまい、そこに家がある場合は家の中に入ってきてしまうので、そこに魔除けの石敢當を設置するというような使い方をする。
石敢當にぶつかったマジムンは粉々に砕け散ると言われており、家の玄関にこれを付けておくということは、マジムンの侵入を防ぐことになるのだ。
その石敢當を埋めた家の真ん前にはちょっとした公園があり、夜になると人通りも少なくなり、やや不気味な雰囲気となる。もしかすると家主は、そこにこの世ならざる者の存在を見出してしまって、その対策として石敢當を設置したのかもしれない。
ちなみに、沖縄では石敢當を設置してない家には石材店の営業がしつこく来るらしいので、
石敢當は魔除けではなく、石材店の営業除け、なんて言う笑い話もあるようです。
お後がよろしいようで。
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