ストーカーはいつも近くにいる【partⅢ】
投稿者:ねこじろう (147)
私は都内の家電販売会社に勤める24歳のOLだ。
その日久しぶりの残業で自宅のワンルームマンションに帰り着いたのは、午後9時。
3階でエレベーターを降り渡り廊下を歩き、玄関のドアを開く。
電気を点け6帖の部屋が視界に飛び込んできた瞬間、思わず絶句した。
─ああ、まただ、、、
正面奥窓際にあるのはシングルベッド。
部屋中央にはガラステーブル。
向かって左手の壁には液晶テレビと、その下にはヘアードレッサー。
右手の壁には備え付けのクローゼットと小さな棚。
朝方出るときは脱ぎっぱなしの部屋着や読みかけの雑誌とかが散乱していたのに、今はきれいに片付けられている。
そしてガラステーブルの上には、たった今作ったかのようにご飯とおかずが湯気をあげていた。
その横には一枚の紙。
そこには、
「お疲れ。
仕事も大事だけど、あんまり無理すんなよ」と黒マジックで書かれている。
私は一つ大きくため息をつき、その紙を手に取るとぐしゃぐしゃに丸めゴミ箱に叩きつけるように入れた。
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2歳年上の信也は異常なくらい神経質で嫉妬深かった。
デートの時にカフェの男性スタッフと少し雑談を交わしただけで機嫌が悪くなり、後からチクチクと嫌みを言われる。
支払いは当然のように一円単位まで割り勘。
そして挙げ句の果ては私が女子会に出かける時までも、出席メンバーと一緒のスナップをラインに送るよう命じられる始末。
どちらかというとおおざっぱな性格の私は、いつしか彼の異常な束縛に耐えきれず、結局半年ほど交際した後とうとう前月私から別れを切り出したのだ。
だけどやはりというか、信也は絶対に受け入れてくれなかった。
当たり前のように電話をかけてくるし、ラインも送ってくる。
それは徐々にエスカレートしていった。
ある時は私のいない間に勝手に部屋に入り込み、鉢植えの観葉植物をテレビの横に置いてくれていたり、
ある時は部屋の掃除をし流し台の食器まで洗ってくれて、ベッドには私の部屋着まで置いてくれていた。
そしてとうとう今日は部屋の掃除をして、ご丁寧に手料理まで作ってくれたようだ。
─やっぱり、鍵を変えないといけないのかな
でも賃貸物件は勝手に変えられないらしいし。
無事でよかったです。
まさかの展開((( ;゚Д゚)))