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心霊

雨音さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

30センチメートルの穴
短編 2021/03/07 22:08 4,373view
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それは、私が高校一年生の時のお話です。

私は当時実家から少し離れた高校まで、片道1時間の電車通学をしていました。

家が遠い学生の常と言いますか、乗り換えに失敗すると20分以上到着が遅れてしまうこともあって、私は毎朝早起きをして登校時間の1時間前には学校につくようにしていました。

その日もいつものように、他の生徒たちが登校するよりも早い時間に、私は駅のホームで乗り換えの電車を待っていました。

子どもの頃から朝に弱い私は、うつらうつらしながら目の前に並ぶサラリーマンたちが電車に乗り込むのに続いて歩きだしました。

そして、電車に乗り込もうとしたとき、一瞬意識が途切れました。
すぐに意識を取り戻し、目を開けると、目の前には電車の床と、沢山の人の足、足、足。

私は電車のホームの隙間に腰まですっぽりと入り込んで、ハマってしまっていました。
その駅は、電車とホームの隙間が大きく空いていることで、地元でも有名な駅でした。

(うわあ、恥ずかしい)

ウトウトしてホームに落っこちるなんて、朝から最悪です。

早く脱出しようと両手を踏ん張って這い上がろうとしたものの、下半身が重たくて動けそうもありません。

私は仕方なく大声で助けを呼びました。

でも、誰もこちらを振り返ってくれません。

私の声なんて聞こえてないかのように、誰一人こちらに見向きもしないのです。

女子高生が電車と駅のホームに挟まっているという異様な光景を、だれも気にもとめません。

(誰も助けてくれない)

そう気づいた私は、死にものぐるいの力で両腕で全力で床を押して、無理やり這うようにして電車に乗り込みました。

私が乗り込んだのと、電車のドアがしまるのは、ほとんど同時でした。

あまりの恐怖にうずくまって泣いていると、そこでようやく私に視線が集まってきました。

好奇の目を浴びせられて、恥ずかしさに立ち上がろうとしても、身体がいうことをききません。

次の駅で乗り込んできた友人が私を見つけて駆け寄ってくるまで、私は一人で泣いていました。

事情を知った友人に支えられて、私と友人は学校に向かい、保健室に行くことにしました。

養護の先生に叱られながら椅子に座らされ、学校指定のハイソックスを脱ぐと

そこにはびっしりと、人の手の形をした痣が大量に残っていました。

大人になってから「怖い話をして」と言われると、私は必ずこの時の話をするのですが、
たまたま同郷の人にその話をした時に

「それ、○○駅?」

と真剣な顔をして聞かれました。

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コメント(3)
  • 怖いですね。私もちびっこの時に、電車とホームの間に靴をよく落としたのですが、もしかして引っ張られてたのかしら。

    2021/03/08/11:54
  • 普通は落ちたら助けるよね。

    助けない乗客のほうが怖いなぁ!

    危ない駅は使わない方がいいね!

    2021/08/15/08:03
  • 乗客には引っ張られているときの姿が見えていなかったってこと?かな?

    2023/03/28/11:48

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