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呪い・祟り

神助さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

ゴミ捨て場の人形
短編 2023/02/20 21:49 2,610view
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ある日自宅近くのコンビニに向かう為、私は家を出た。この辺は住宅街で1ブロック7~10世帯くらいの住宅が集合しているような地域になっている。歩き始めて間もなく一つ先のブロックのゴミ置き場が見えてきた。

ゴミ置き場はブロックごとにネットのみだったりとか、しっかりした自治会用のゴミ箱を置いたりしているところだったりとかグループごとに異なっていた。

見慣れた風景とは違い、ここのゴミ置き場はネットからしっかりした鉄網製のゴミ箱に変えたようだった。

「へー、ここのブロックもついにゴミ箱買ったんだ!」そんな割とどうでもいい事を考えながら横を通過する私。そのままコンビニへと向かい用事を済ませた。帰りは勿論元来たルートを戻るので同じ景色がまた広がる。

すると、行きはあまり気にしてはいなかったが私の目にある物が写った。さっきのゴミ箱、ビールの缶と栄養ドリンクの瓶らしき物がむき出し状態で捨てられていたのだ。ここの収集場所は燃えるゴミ専用だ。おそらく、住民以外の通りすがりのならず者が捨てたのだろう。全く、マナーのなっていないやつだ。

真横を通り過ぎる時、私は他にももう一つ何かが捨てられている事に気が付いた。黒いワサワサした物が見える。「ん?なんだこれ?」

まじまじと目を凝らして見ると、それの正体が分かった。

日本人形だ!その人形は顔こそキレイな状態ではあったが何故か下半分の着物を部分が焦げていた!なんだか気味が悪い。私は、急いでその場を後にした。

自宅に着き、夕飯を食べる頃にはすっかり人形の事など忘れていた。

翌日、この日は朝から小雨が降っていた。小雨と言えど、1月という事もあってかかなり寒い。

早歩きで駅へ向かう、すると1ブロック先のゴミ箱が見えてきた。

私は昨日の人形の事を思い出した。「まだあの人形あるのかな?」ただ単純にそう思った。

チラリとゴミ箱を横目で覗いてみる。

人形はなかった。きっとここの自治会グループの誰かが片づけたのだろう。この時、何故だかとてもほっとしたのを覚えている。

夜になっても雨は降り続いていた。寒い日は早めに寝るのに限る。寒がりの私は夜9時過ぎ、早々に布団にもぐり込む。久しぶりに好きなYouTubeを見ながら自分の時間を満喫していたら、いつの間にか眠ってしまっていた。

2~3時間程眠ったのだろうか?雨の音に混じってかすかに聞こえる奇妙な音目が覚めた。

『グルル…ウぉううッ……グウ』音?ん、これは……声?なんて表せばいいのか、一番近いのは猫が喧嘩の時に発する様な声なのだけれどちょっと違う。呻き声にも聞こえる。

腹の底から絞り出される様な重低音のその声は段々とこちらに近づいて来ていて、家のすぐ外からする。私は気になって窓から外の様子をうかがった。

車が一台も通らない住宅街の静まりかえった夜の道路に響く声、数少ない街頭の薄明りの中で何かが動いているのが見えた。じっと目を凝らしてみる。「………!!!」しまった!見てはいけないものを見てしまった!

街頭の明かりに照らされて姿を現したのはなんと、猫でも他の動物でもない日本人形だった!人形が下半身を引きずりながら道を這う様にして移動しているのだ!

あまりの衝撃で私は目をそらせずにいた。気づかれる前に窓から離れなきゃ!けれども体がいう事を聞かない。すると人形の動きがピタリと止まった!人形は丁度私が見ている窓の真下の位置まで来ていた!ヤバい!そう思った時だった。

『ダン!ダン!!』室内で飼っているウサギが“足ダン”をして威嚇をした!

※(ウサギを飼って事のある方なら知っていると思いますが、ウサギは危険を感じると足をダンダンと踏み鳴らし仲間に警告したり、威嚇したりします)

ウサギちゃんのお陰で間一髪、私は窓から離れる事が出来た。するとひと呼吸置いたのち、再びあの気味の悪い唸り声を上げながら引きずる音と声は段々と遠ざかって行くのが分かった。

あの人形は間違いなく、1ブロック先のゴミ箱に捨てられていたものだ!何故そう言い切れるかって?暗がりで下半身の焦げた部分は見えなかったものの、あの時焦げ臭い匂いがツーンとしていたからだ。

人形は自分を捨てた持ち主の元へ帰ろうといていたのかもしれない。

それから一週間程が過ぎた。天気のいい土曜の朝、ベランダに洗濯物を干していると住宅街の先で霊柩車が停まっているのが見えた。誰か亡くなったのか……。この辺りはお年寄りが多い、無理もないか。

霊柩車がゆっくりと走り出す、親族であろう人たちもいそいそと車に乗り込もうとしていた。

あれ?見間違いだろうか?親族らしき一人の高齢の女性が日本人形を抱えていたように見えた。

そして車が走り出す……。キレイに晴れた冬の空に、一瞬だけあの焦げ臭い匂いが舞っていた……。

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