従姉妹から聞いた話です。
大学生の時、友人が運転免許を取ったので、
女友達4人でドライブに行こうということになりました。
当日、朝目覚めた従姉妹はベッドの中で、
なんとなく『行きたくないなあ』と思ったそうです。
しかしドタキャンするのは友人たちに悪いし、とベッドを出ようとしました。
「えッ?」
ガクン、と前のめりで膝をつきました。
普通なら膝を曲げた状態で、床に足裏がつくのに、
ベッドから床がやけに高く感じられたのです。
寝ぼけていたのかと思い、立ち上がりました。
顔を洗いに行こうと部屋のドアを開けようとしました。
「あれ?」
ドアが開きません、もちろん鍵などかかっていません。
力を入れると、ギ、ギ、と軋んで、
擦れるような音を立てて開きました。
歪んでいるというか建て付けが悪くなっているようでした。
しかし、昨夜までなんともなかったのです。
従姉妹は幼い頃から勘が鋭かったのです。
そして、こういう『悪い予感』は必ず当たります。
今日は出かけない方がいいかもしれない、いや、みんなも車に乗るのをやめた方が……。
友人に電話して『今日はやめようよ、危ないよ』と言いましたが、
『何おかしなこと言ってるの』と、笑って相手にしてくれません。
従姉妹は何度も翻意させようと試みたのですが、
しまいには『じゃあ、もう来なくていいよ』と、友人は腹を立ててしまったようでした。
結果として、従姉妹の予感は当たりました。
友人が運転する車が、事故を起こしたのです。
幸い命に別状はなかったものの、
全員、骨折や打撲といった重軽傷を負ったそうです。
「従姉妹ちゃんの言うことを聞いとけば良かったよ」と、
友人たちは見舞いに行った従姉妹に、涙を流して謝ったそうです。
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