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呪い・祟り

足が太いさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

石を投げたのはお前か
長編 2022/07/29 23:27 5,213view
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子供の頃、親戚宅へ家族で遊びに行くことが何度かあって、その中で起きた出来事です。
親戚宅から子供の足で歩いて10分くらいの場所に、それは大きな池がありました。
その池は地元の人も滅多に近寄らないらしく、池までは雑草が生い茂る獣道を通って行かなければならない。
池は深さがあって、人気もないので溺れては大変だからということで、地元の子どもたちは大人から「絶対にあの池に近づくな」と言われていました。

私がその池のことを知ったのは、親戚宅の子(同年代のリカちゃん)から。
リカちゃんが、ひそひそ声で池のことを教えてくれて、最後に「ねえ、行ってみない?」と、誘ってきたんです。
リカちゃんが言うには、今日これから近所の子達も一緒に池を見に行くのだとか。
そこに私も誘われたのですが、黙って池に行って何かあったら嫌だし、怖いので最初は断りました。
でも、リカちゃんが「ちょっと行って帰ってくるだけだから、バレないよ」としつこく誘うので、根負けしてついていくことにしたのです。

私は両親に「リカちゃんと近所で遊んでくる」と言って、リカちゃんと手をつないで家を出ました。

そしてリカちゃんに引っ張られるがままついていくと、数分歩いたところに見知らぬ子供が3人いたのです。
3人の子供達はリカちゃんの同級生で、挨拶もそこそこに池まで向かいました。
皆のあとをついて行くとリカちゃんの話し通り獣道があり、鬱蒼と生い茂る草木をかき分けて進むとそこには大きな池がありました。
でも、その池は黒く濁っていて、おまけに臭いも酷く、早速来たことを後悔したのです。
子供達とリカちゃんも、池を見て「何これ、汚い」「何か気持ち悪い、早く帰ろうよ」と、不満を言い出しました。
でも、せっかく来たのだからもうちょっと見てみようと1人の子が言いだして、仕方なく池の周りを観察することにしたのです。

池の周りは狭いですが歩けるようになっていたので、3人の子供達のうち一番声が大きくてよく発言する子が率先して前を歩き、そのあとを他の子がついていきました。
最初はとくに何も起こらなかったのですが、池を半周あたりまで歩いたところで、ボチャン…ボチャン…と、水音が聞こえてきました。
皆で一斉に立ち止まり、息を殺してあたりを見回していると、不意に先頭の子が「あ、あれ…」と、池の真ん中を指さしました。
そちらを見ると、池に大きな波紋が広がっていて、それを見たリカちゃんが「魚かな?」と言ったのですが、魚にしては音が大きく鈍いような気がします。

皆で「池の主かも」「カッパかもしれないよ」なんて言いながらじっと池を見ていたのですが、水音と波紋だけで、そこから何かが出てくるような気配はありません。
ちょっとがっかりしたような雰囲気も漂っていて、それを払拭したかったのか先頭の子は、足元にあった小石を音のする方に投げ入れたのです。
小石は上手く水音のする方へと飛んでいき、バシャ!と水音を立てて池の中へそのまま沈んでいきました。
小石が何かに当たった様子はなく、それが気に入らなかったのか先頭の子はまた石を拾って池へと投げたのです。
他の子達は最初は見ているだけでしたが、そのうち自分達も真似して池の中へ投げ入れていました。
私は何だかそれが良くない行いのような気がして、見ているだけに留めていたのです。

バシャ!バシャ!バシャ!と、子供達が池へと石を投げ入れるたびに水音が鳴り、池の中へと石が沈んでいきます。
そして何度目かのバシャ!という水音がしたあと、ゴンッ!という鈍い音が聞こえてきました。
皆、ハッとして石を投げ入れるのをやめて音がした方を観察しました。
しかし、池には波紋が広がるばかりで、それ以上何も起こりません。
でも何となく嫌な雰囲気が漂ってきて、誰からともなく「帰ろう」と言い、早足でそれぞれの家へと帰って行ったのです。

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