不思議なデート
投稿者:ジュリー (62)
私には小学生の頃、ずっと好きだった男の子がいました。
その子と休み時間や放課後に遊んだ記憶は今も鮮明に残っています。
中学生になっても、高校生になっても変わらず休日や放課後は会っていました。
そんな彼の姿が急に見えなくなったのは大学1年生の春。
確かに彼とは同じ大学に進学したはずでしたが、姿を全く見ません。
昔から仲の良かった友達に彼のことを尋ねました。
すると、友達は驚いた顔で「え?知らないの?」と言います。
友達の話では、彼は小学校6年生の春休み、交通事故に遭って亡くなった。
私は「そんなわけないでしょ。中学も高校もほぼ毎日会っていたのに。」
そう言って笑うと、友達はどんどん青ざめていきます。
「ねえ、会ってたんだよね。その子と。じゃあ、どこに行ったか思い出せる?」
そう言われ、行った店や遊園地の名前、憶えている日付を言いました。
「じゃあ、その頃の写真とか、領収書でも何でも良い。残ってる?」
言われてスマホを見ると、残っているのは家族や友達、1人で撮った写真だけ。
財布を開くと高校で出会った友達と買いに行った文具の領収書ばかり。
慌てている私を見た友達が一言「夢でも見たんじゃない?」と言います。
今でも思い出す、彼との楽しかったデート。
あれが全て夢か幻だと言うのなら、私は長い間何をしていたのだろう。
未だにあの時のことは分からないまま、楽しかった思い出として心に残っています。
ご冥福をお祈りします。