トラウマのトンネル
投稿者:偽美 (28)
トンネルって怖くないですか?
近所にあるトンネルは距離にすればたった700メートルほどしかないので車なら一瞬、自転車でもまあすぐ通り抜けられます。だから
歩いてもそんなに大したことないだろうと思って行ったんですけどこれが間違いでした。入ってすぐに出口の光が見えるのにいつまでたっても
その出口にたどり着ける感覚がしない、ただずっと先の出口の光は見えたまま……。これはやばいと思いました。そして何よりも問題なのは、このトンネルの出口付近は少しカーブになってて中からは外の様子がよく見えないことなんですよね。なので
「もしこのまま出られなかったらどうしよう」
という恐怖心と闘いながらひたすら歩き続けました。
するとついにその時が来たのです。出口付近のカーブをゆっくり曲がった瞬間目の前には光が広がっていました!ああよかったやっと外に出られたんだ……そう思い安心しきっていたところ、次の瞬間私はとんでもない光景を目の当たりにしてしまったのです。
なんとそこは以前見た景色とはまるで違う場所だったのです。見慣れた風景なのに全く知らない場所に来てしまったような違和感を覚えながらもひとまず家に帰ることにしました。しかしいくら走ってもその家にたどり着くことはありませんでした。それどころか自分の住んでいる町すら見つけることができません。もう完全にパニックになりましたよ。
こんなところで迷子になるなんて想像だにしていませんでしたから。
とにかく必死に走り回りました。そのうちに疲れ果ててしまい、どこか座れる場所はないかと探していました。そしたらちょうど公園を見つけたんでそこに腰掛けました。
もうこの時点でかなり絶望的な状況でしたが、なんとか冷静になろうとして考え事を始めました。しばらくすると一人の女の子がこちらに向かってきているのが見えたので、
「あのーすみませんちょっと道を教えて欲しいんですけど……」
と言いかけようとしたところその子の姿を見た途端なぜか急に意識を失ってしまいました。
そして気がついた時にはベッドの上で寝かされていました。起き上がるとそこには心配そうな顔をして私を見つめる両親がいました。私は泣きながら両親に抱きつき無事だったことを報告しました。
その後病院で検査をしてもらった結果、特に異常はなかったので無事に帰宅することができました。あの時の体験は何度思い出しても恐ろしいものです。それ以来私は歩いてトンネルに入ることができなくなってしまいました。
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