奇妙なカップル
投稿者:偽美 (28)
私と友人が、小学四年生の夏休みに、海へ遊びに行った時のことです。
私たちは海辺の民宿に泊まりました。海から歩いてすぐのところでした。部屋は二階の角で、窓から見える景色がとても綺麗なところだったと思います。
夜になり、布団を敷いて寝る準備をしている時です。私たちの部屋の窓の外にある庭を誰かが歩いているのです。それも二人。一人はとても背が高くて、もう一人はそれより少し低いくらいでした。二人は楽しそうに会話をしながら、私の部屋の前を通り過ぎていきます。私はそれを横目で見ながら
「変だね」
と言い合いました。だって、こんな時間に人が外にいるはずがないんですもの。でも、その声はどこか遠く聞こえていて、私はそれが夢なのか現実なのか分からなくなっていました。
すると突然、何かが割れるような大きな音がしました。それからすぐに、
「きゃー!」
という悲鳴も聞こえてきました。どうやら隣の部屋に泊まっていた大学生らしいカップルが喧嘩を始めたようでした。隣室からは激しい言い争いの声が続いています。そして最後に、
「あんたなんか大嫌いよ! もう別れましょう!」
という女性の大きな叫び声を聞いたところで、目が覚めてしまいました。
朝起きてから二人でそのことを話しているうちに、昨夜のあの不思議な出来事はやっぱり現実のことだったんだと思うようになりました。それを確かめるために、もう一度あの浜辺まで行ってみようということになったのです。
ところが、浜辺に着いた時には、昨日見たはずの二人の姿はなく、ただ波の音だけが響いていました。
その後しばらくしてから、また別の場所で幽霊を見たという人が現れました。今度は若い女性ではなく、中年の男性だったようです。
その男性によると、深夜一人で散歩をしていた時に、ふと見上げた空に大きな月があったそうなんです。それでしばらく月を見上げていると、いつの間にか目の前に黒い服を着た男が立っていたそうです。
男は手に長い包丁を持っていて、それを振りかざして襲いかかってきたのだそうです。男性は驚いて逃げようとしたけれど足がもつれて転んでしまい、地面に倒れたまま動けなくなってしまったとか。そこで目を閉じて覚悟を決めた瞬間、急にあたりが静かになったような気がしたそうです。
恐るおそる目を開けると、そこには誰もいなかったそうです。その代わり、すぐ近くにあった電柱に真っ赤な血のようなものがべっとりとついていたそうです。
それは今も残っているのだと言っていましたが、その真偽は定かではありません。
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