雑魚寝の旅館にて
投稿者:熊猫 (10)
短編
2022/06/30
07:23
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これは私が仕事で九州のとある県に行った時のお話です。
そのとき、ホテル・旅館はどこも空きがなく、唯一泊まれる場所は宿泊客が大広間に布団を並べて敷いて寝る形の旅館のみでした。
様相も古く気が進みませんでしたが、日帰りをする事は不可能であり、野宿するよりはましであったため仕方なくその旅館にチェックインしました。
食事はそこでは利用せず、お風呂のみ利用しました。(温泉は個人的に満足しました)
そして就寝する際、暗い大広間に十数人の宿泊客が寝ており、布団と布団の間隔は狭めだったのですが、あまり窮屈でなく両端のお客さんに気を使いたくなかったため
私は空いていた一番奥の布団を利用しました。最初は心配だったんですけど外で飲んできたお酒の力もあり、自然と入眠できそうでした。
あと少しで完全に寝れるかなっていうときに私の枕の通路を誰かがなんどか通るため、なかなか寝付く事ができません。
最初は「トイレかな、たばこかな」くらいに考えていたんですが、あまりにも通るため、少し自分もトイレに行ってすっきりして寝なおそうと思い
いったん起き上がりました。すると誰かが通りすぎていたばかりなのにその部屋には立っている人は一人もおらず、全員布団入っていました。
最初は「おかしいな」くらいしか思っていませんでしたが、すぐに寒気に変わりました。前述のとおり、私の布団は部屋一番隅っこで枕元を往来する事自体が不自然だったんです。不思議な体験でした。
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