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呪い・祟り

足が太いさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

ネカフェの隣室から聞こえる声
長編 2022/04/24 00:38 3,578view
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一時期、ネカフェに行くのに嵌っていました。

ネカフェに行って、適当に漫画を読んで、喉が渇いたらサーバーから好きな飲み物を選んで飲んで…。
そうやって、だらだらと2~3時間くらい時間を潰しているのに嵌っていた時期があったのです。

私がよく通っていたネカフェは、大阪のとあるお店です。

駅の近くにあるものの土日でもあまり混んでいないし、個室はそこそこ清潔だし、飲み物の種類も置いてある漫画の種類も豊富なので、お気に入りでした。

その日は確か、日曜だったと思います。
昼過ぎに起きて、「このままどこへも行かないまま休みを潰すのは勿体無い」と思った私は、お気に入りのネカフェに行くことにしました。

ネカフェについたのは16時頃、個室に入って漫画を読み、10分程経ったあたりで、さっきまで静かだった右隣からカサカサ、ガタンガタンといった小さな物音が聞こえてきました。

足音は聞き逃したけれど、恐らく右隣の個室に他のお客さんが入ってきたのでしょう。
物音はしばらく続いた後にピタリと止み、私は気にせずそのまま漫画を読み続けました。

それから、1時間が経ったあたりで、また右隣から音が聞こえてきたのです。
今度は物音ではなく人の話す声で、最初は「右隣の人が誰かと電話してるのかな」と、思っていました。

声はそこまで大きくないので私は気になりませんでしたが、個室もカウンター席も通話禁止のネカフェだったので、「あんまり話してると店員さんに注意されるよ」と内心で思いながら、また漫画を読み進めたのです。

10分経ち、20分経ち、30分経ったあたりで、右隣の人が電話をしているのではないことに気づきました。
というのも、微かに聞こえてくる声が、誰かと会話している感じじゃないのです。
言葉のキャッチボールが出来ていないと言うのか、右隣の人が一方的に話しているように感じました。

何を言っているんだろうと、ふと気になった私は、それまで読んでいた漫画をテーブルに置いて、そっと私側の個室と右隣の個室を仕切る扉に耳をつけたのです。

最初は不明瞭でしたが、聞き慣れてくると女性の低い声で、何やら呪文を唱えているように聞こえました。

呪文だと思ったのは、所々で「我が魂を持って…」だとか「憎き○○の…」といった言葉が入っていたからです。

○○には人の名字が入るのですが、聞いたことがあるなと思ったらそのネカフェの店員さんに同じ名字の人がいて、それに気づいた私は「もしかして右隣の人、○○さんに呪いでもかけてるの…?」と、思いました。

そーっと扉から耳を離し、どうしようか考えました。
店員の○○さんにいきなり「右隣の人があなたに呪いをかけてるようですよ」と言っても、私が変人扱いされるだけだと思います。

なので、一先ず「右隣の人がずっと何か話しているようで、電話しているかもしれないので注意してもらえませんか」とだけ伝えてみようと思いました。

「呪いをかけている最中に他人に邪魔をされると、呪いは成立せず、呪いをかけた本人に返る」と、昔、何かで読んだことがあったのです。

だから、右隣の人の呪いを邪魔すれば店員の○○さんに呪いはかからないし、右隣の人も静かになるんじゃないかと思ったのです。

右隣の人に勘づかれないように個室を出て、ネカフェの入口にあるレジカウンターまで行きました。
そこに居た○○さんではない別の店員さんに、「右隣の個室の人が30分くらいずっと喋ってるんです。注意してもらえませんか」と伝えました。

しかし、店員さんは私の話しを聞いて不思議そうにするばかりです。
どうしたのかと思っていたら、「右隣って10番の個室ですよね?10番は今、誰も入っていないはずなんですが…」と言ったのです。

そんなはずはないと思い、「でも、物音とか声とか聞こえましたが…」と重ねて言うと、「間違えて10番に入っているお客様がいるのかもしれませんね。確認してみますね」と言ってくれました。

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