貸し切りのカウンター
投稿者:キヒト (8)
短編
2022/03/19
10:53
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私が近所のファーストフードで体験した怖い話です。2階建ての店舗で1階は販売だけで2階が客席になっています。パート先と自宅の間にあって、3時にパートが終わってちょっと寄るのにちょうどいいのでほぼ毎日通うようになりました。時間帯なのか他に客がいないことが多いのですごくくつろげてそれも常連になった理由でした。
ところが、ある時を境に髪の長い中年男性を毎回同じカウンター席に見かけるようになりました。たまたま目が合った時はすごく不気味で背筋がゾットしました。来るのをやめようかとも思いましたが他に読書に没頭できる場所がなくて相変わらず通い続けていました。
ある日いつも通り男性と2人でワンフロアを占領して読書に没頭していました。すると長女の学校のママ友が店員の制服で上がって来ました。
「ここで働いてたんだ」
「うん、いつも2時までなんだけど今日は学生のバイトが急に休みになって代わったの」
「えっびっくりだな、毎日3時から1時間1人が貸し切りしてるって噂だったけどあなただったんだね!」
「えっ一人、一人じゃないよ毎日もう一人男の人が来てるでしょ、ほら」と振り返って指さした先には誰もいませんでした。
「あれ、下に降りて出て行ったでしょ?」
「誰も来なかったよ、大丈夫?」
「えっ!」
もう2週間近く来ると男性が座っていたのに。
全身血の気が引いて固まってしまいました。
その後は怖いのでそのファーストフード店には近づけなくなりました。
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