消えた兄弟
投稿者:りう (54)
地方の田舎に7人家族の親戚がいた。
両親、長男、次男、三男、四男、五男。
その両親が、妻の父の従兄弟。ようするに子供たちは妻のはとこだ。結婚して初めて家を訪問した時は、BBQをしてくれた。
はとこ次男が妻と同い年で、五男は随分離れて当時は小学生の低学年だったと思う。無邪気にハシャイでいた。
私も次男さんと同い年だったので、次男さんとばかり話していた。長男さんは無口な印象だった。
三男と四男は大人しい人としか印象が残っていなかった。
その後も、ことあるごとに訪問することがあった。大家族なので全員が揃っていることは少なかった。
妻が妊娠し、私の転勤などもあり疎遠になった。
私達の子供が小学生の低学年になった頃、はとこ達の母親が亡くなった。当然、家族でお葬式に赴いた。
はとこ、3人しかいなかった。次男、三男、四男。
長男と五男がいない。
不思議だったが、空気を読んで黙っていた。しばらくして小声で妻に聞いてみた。すると「あとでね」と返された。
式の最後の挨拶、はとこの父親が言った。
「残された我々4人、力を合わせて妻の分も生きます。」
「本日は、ありがとうございました。」
理解できなかったが、私だけが知らされていない、2人がいない理由があるのだろうと思った。所詮、私は外様だ。
結婚を反対されて勘当されたとか、ヤクザになったとか、ドラマでありがちなことを想像していた。
式の帰り道、妻にもう一度聞いてみた。
なぜ2人は、いなかったのか。
「はじめから、いないことになってるの」
「5人を揃って見たのは昔のBBQの時だけ」
「あの時は、あなたの初披露だったから」
「あの2人には知的障害があって施設や作業所にいるの」
「戸籍も抜いてるって聞いたわ」
※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。