端を歩かなかったから
投稿者:だれパンダ (31)
短編
2022/02/20
10:02
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私には二歳上のいとこのKがいます。
彼は悪い人間ではないのですが、元来お調子者というか神仏を軽んじる傾向にあり、祖父母が語る古い迷信やしきたりをはなっから馬鹿にしている節がありました。
中2の夏休み、一緒に見たテレビの心霊特集がきっかけでKと肝試しの計画を立てました。
行き先は地元で有名な心霊スポット、山中の廃神社です。
すぐさま自転車をとばし山に向かい、ボロボロに朽ち果てた鳥居を見上げていると、夜闇の暗さと相まって得体の知れない恐怖を感じました。
「そういやばあちゃんが言ってたな、鳥居をくぐるときは端に寄れって」
「なんで?」
「真ん中は神様が通るから、邪魔したら祟られるんだ」
私の話をKは真面目に取り合わず高笑いし、鳥居の真ん中を堂々とくぐっていきました。
結局その夜は何も起きず、雑草が伸び放題の境内を徘徊しただけでお開きとなったのですが……。
十年後、Kに妙な事を打ち明けられました。最近の夢に立て続けに例の鳥居が現れるらしいのです。
Kが事故で命を落としたのはその数日後でした。
道を歩いている時に工事現場の鉄骨が落下し、叩き潰されたのだそうです。
警察の事情聴取の際、その場に居合わせた作業員はこう嘆いたそうです。
「運が悪いヤツだな。もう少し端に寄ってりゃ命拾いしたのに」
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