野球部の喋るマネキン
投稿者:ジュリー (62)
私の高校時代の話です。
友人が所属していた野球部の部室に遊びに行った時、なぜかマネキンの頭部が無造作にゴロンと転がっていました。
「何で野球部に、これがあるの?」と部員である友人に聞くと、平然とした顔で「帰ってくるんだ」と言っていました。
どこに捨てても翌朝には部室にあるそうです。
そして「こいつ喋るんだぜ!」と、意味不明な事も付け加えました。
「はぁ?」と私は固まりました。
友人はマネキンのまだらになっている髪をつかみ上げ、「挨拶しろ!」とマネキンに言います。
はじめは私を馬鹿にしているのかと思いましたが、彼は本気でした。
もちろん、マネキンが話すことはありません。
友人は「恥かかせやがって」と持っていたマネキンを床に叩き付けました。
あまりの友人の本気ぶりに、「いつもなら話すのか?」と聞いたところ、「ああ、少し片言だが話すんだ」とマネキンが話さなかったことに少々ご立腹の様子。
「本当なんだぜ」と訴えかけて来る彼に、私は否定できませんでした。
「まぁ、部外の俺が居たからかもな」と適当に合せました。
「このマネキン何で髪がまばらなんだ?どうせだったらお前と同じく丸坊主にしたら」と言うと、
友人が「そいつバリカンで丸坊主にしたんだぜ。まばらなのは伸びてきたんだ。まったくみっともねぇ」
マネキンを蹴りながら平然と言う始末でした。
野球部に遊びに行ったのは、これが最初で最後でした。
永久欠番のマネキンに聞きたい。
なぜ君は野球部に帰るんだ?と。
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