反魂の儀式と生爪
投稿者:誠二 (20)
これは俺が中1の時の話です。
俺は毎年夏休みに東北の祖父母のもとに帰省していました。
一か月ほど滞在するうちに地元の子たちと親しくなり、近所の山で探検したり川で水遊びをしたりと楽しく過ごしたのですが、その中で特に気が合ったのがガキ大将のAと旧家の息子のBでした。
Aはやや粗暴ながらも曲がった事が嫌いな性格で、Bは大人しく物知り。
タイプこそ正反対ですが幼馴染の親友同士だそうで、後から加わった俺はふたりの仲良しぶりに嫉妬するほどでした。
ところが中1の夏休み、祖父母の家に泊まった俺は思いがけない話を聞かされました。
「えっ、Bが死んだ?」
祖父母の話によるとBは二か月前に山に入り、崖から転落死したのだそうです。
その後朝食を終えて地元の子たちのたまり場になっている駄菓子屋に赴くと、一年ぶりの再会となるAが暗い顔がたたずんでいました。
「久しぶり、Bのこと聞いたよ。一体何があったんだ」
「アイツ、新しい母ちゃんの事で悩んでたんだ」
Bの母親は生まれてすぐ他界し、その後は祖母と父親の三人で暮らしていたのですが、数年前に祖母も亡くなってしまったそうです。
そのあたりの家庭の事情はB本人から聞き及んでいましたが、父親の再婚は初耳だったので驚きました。
「悩んでたって……仲悪かったのか?」
おそるおそる聞いてみると、Aは怒りと憎しみを目に滾らせて断言しました。
「そんなんじゃねえ。Bは継母にいじめ殺されたんだ」
どういうことだと詰め寄った所、Aが白状したのは非常にショッキングな内容でした。
彼はBの家に遊びに行った際、友人の姿が見当たらないのを訝しんで裏に回った時、犬小屋に全裸で繋がれているBを目撃してしまったのだそうです。
「酷い、虐待じゃないか!」
「Bは継母のいびりに耐えかねて、自殺行為だとわかった上で夜の山に入ったのさ。俺にもよく死にたい死にたいって漏らしてたよ」
一番の親友を失ったAは怒り狂い、「許せない、復讐してやる」と声変わりを終えた低い声で宣言しました。
俺は親や警察に相談しようと止めたのですが、地元の権力者であるBの父親が後妻を庇っている為、上手くごまかされてしまうのがオチだとAは主張しました。
その後Aは俺を裏山に連れていき、Bの死体発見現場となった崖下に案内しました。
「俺が一番最初にBを発見したんだ」
「そうなのか?」
「虫の知らせってヤツかな、胸騒ぎがして朝イチで山に入ったら……きっとアイツが呼んだんだ。ひとりぼっちで寂しかったんだよ」
親友の死体を見付けたBに同情した矢先、彼がポケットから取り出したものにぎょっとしました。
それは乾いた血がこびり付いた一枚の爪でした。
「Bの形見だよ。大人が来る前に剥いだんだ。これを使って復讐する」
わけがわからず混乱する俺に対し、AはBから聞いた呪いの儀式の概要を教えてくれました。
なんかエグい
すごく面白かったです
うまい~