中古のバイクには要注意

俺は高校時代バイクを趣味にしていました。しかし貧乏な為なかなか手が出ず、友達が乗り回すのを羨ましがっていました。

すると友人の兄貴が中古のバイクを譲ってくれました。
他人のお下がりでも生まれて初めて手に入れた自分のバイクに有頂天になり、意気揚々と跨って峠にでかけました。

走り始めて三十分ほど経った頃でしょうか、ふいに違和感を感じました。にゃあ～にゃあ～と濁った猫の鳴き声が付いて回るのです。

もし道端に猫がいても、バイクと併走してない限り声が聞こえ続けるはずがない……。

ぞっとしてスピードを落とした所、猫の鳴き声はさらにうるさくなって集中力を乱します。

「どこにいるんだよ！？」

怯えきって叫んだ瞬間、前輪が何かを踏む感触が伝わりました。まさかと思って見下ろし、猫の死体に青ざめます。

「ぎゃああああ！」

タイヤが乗り上げた猫がカッと両目を剥き、俺を睨み付けました。

直後にスリップして宙に放り出され、バイクは壊れてしまいました。俺は全治一週間の軽傷を負います。

後でわかった事ですが、元の持ち主の友人の兄はあのバイクで猫を轢き逃げしていたそうです。

なんとも後味の悪い話でした。