紙飛行機のメッセージ
投稿者:誠二 (20)
短編
2022/03/03
19:58
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祖父が子供の頃の話です。
当時小学生だった祖父は行き帰りに同じ道を使っていました。それは住宅街の真ん中を通る何の変哲もない道で、右手には二階建ての白い綺麗な家が建っていたそうです。
ある日祖父が歩いていると、靴の先にふわりと何かが落ちてきました。紙飛行機でした。
出所を辿り視線を上げれば、白い家の二階のカーテンがさっと引かれました。あそこから狙い定めて飛んできたみたいです。
疑問に思って紙飛行機を拾い上げ開いてみると、赤いクレヨンでメッセージが書かれていました。
「た す け て」
SOSでした。
長い間この道を使っていますが、紙飛行機が飛んできたのは初めてです。そもそも二階の窓が開いているのさえ見たことありません。
ただのイタズラだろうか?
警察に届けた方がいいのだろうか?
すると白い家の玄関ドアが開き、エプロン姿の中年女が駆け出してきました。
祖父が手にした紙飛行機を一目見るなり彼女の表情は豹変し、慌てて回収します。
「ごめんね、娘のイタズラなの」
「娘さんどこか悪いんですか」
「直射日光が苦手な体質なのよ。だからずっと二階に閉じこもってるの」
主婦に言いくるめられた祖父は黙って帰りました。
数日後、例の家の二階で事件が起きました。その家の12歳になる長女が餓死したのです。
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