迎えに来たおじいちゃん
投稿者:峰 (38)
夢の中で、Rさんはヒタヒタという足音を聞いていました。
その足音で、ふっ、と意識が浮上して、Rさんは目を開けました。
すると、おばあさんの部屋の中が、なぜかぼんやりと薄暗いのです。Rさんの体も、なんだかふわふわとした感覚に包まれています。
「あ、これ、夢だな」
と、Rさんは勘づきました。
その瞬間、部屋の襖がスーッと開きました。
Rさんが襖の方を見ると、そこには若い一人の兵隊さんが立っていたそうです。
Rさんはギョッとしましたが、そのときも不思議と怖いとは思いませんでした。
兵隊さんは部屋の中をぐるりと見渡すと、Rさんには目もくれず、ゆっくりおばあさんの枕元に座りました。
そして、
「おめぇ、約束はどげぇしたんじゃ。おめぇ、約束はどげぇしたんじゃ。」
と、かなりキツい方言でおばあさんに話しかけました。
Rさんが驚いていると、今度は寝ているはずのおばあさんの声が、
「そう言うてもなぁ、あたしはもうはようあんたんとけぇ行きとうて行きとうておえんのじゃ。なんではようあたしを迎えに来てくれんのじゃ」
と返事をしたそうです。
しかし、おばあさんは目を瞑ったまま、口も一文字に閉じています。
夢だとしても、とても奇妙な光景でした。
おばあさんに責められた兵隊さんは、静かな声で、
「ほいでも△△の嫁がもうすぐ曾孫を産むがな。曾孫抱くてぇわしと約束したろうが」
と、おばあさんを諭すように言いました。
△△というのは、Rさんのお兄さんで、この家の長男です。結婚して隣町に引っ越していますが、奥さんがもうすぐはじめての赤ちゃんを出産する予定なのです。
おばあさんは、それを聞いて黙り込んだそうです。
Rさんには、その様子が何故か、おばあさんが拗ねて駄々を捏ねているように見えました。
それでつい、口を出してしまいました。
「おばあちゃん、そうだよ。兄貴の赤ちゃん見てあげてよ。おばあちゃんの初ひ孫だよ。それまでがんばろうよ」
すると、それまでRさんを無視していた兵隊さんが、急にRさんの方を見ました。
Rさんは慌てて「ヤバい」と思いましたが、兵隊さんは真顔のまま、片手で少し帽子に触れると、そのままスッと消えてしまったそうです。
気がつくと、Rさんはおばあさんの部屋で、おばあさんに寄り添うようにして眠っていました。
かなり寝てしまったかと焦りましたが、時計を確認してみると、僅か5分ほどしか経っていなかったそうです。
驚いたのはその翌日です。
朝、家族がいつものように朝食を食べていると、突然おばあさんがリビングに現れました。
いつもならまだ寝ている時間だし、そもそも長い間寝たきり同然だったおばあさんが自分でリビングまでやってきたので、家族は騒然となりました。
「どうしたのおばあちゃん!」とみんなが聞くと、おばあさんは
「ほりゃもうすぐ△△のとこに赤ちゃんが産まれるんじゃけぇ、寝ておれん」
と答えたそうです。
ホロリときました
あれ、目から汗が・・
泣いちゃう
最初にコメント見て、まさかと思ったけどホントに泣けた
自分の最後もこんな感じだといいなぁと思ってしまいました
いい話しですね。
旦那さんの意思を継いで必死に頑張ったのでしょうね。
感動した
涙腺崩壊。良い話だった。ありがとう。
号泣
素敵すぎる。これは泣く
あれ、涙が・・
途中からもう我慢できませんでした。。涙
固い絆で結ばれたご夫婦なんだなあ。。
あぁー 涙
泣きました。良い話をありがとうございます。頑張って生きぬいたら待っててくれる人がいるってすごく愛しいことですね
遠い終わりの日に
という表現が美しかった
方言も温かく、家族愛、夫婦愛に満たされたお話でした。
我が家のお婆ちゃんは、お迎えに来てくれたお祖父ちゃんを追い返してしまったからなぁ。
?頬が濡れてる
心温まる、じんと来る、いいお話でした。幸せな心優しいご家族ですね。
怖い話じゃなくて泣ける話やないかい。こうやって幸せの中で息を引き取るみたいな最後がいいなって思えた
泣ける