二人で溜息を付きながらまずは大量の残置物を撤去する事に。
家電やその他の売れそうな物と廃棄する物とを分けながら撤去して、
少しずつ1LDKの部屋の全貌が明らかになって来ると、異様な事に気付きました。
ゴミは大量にありとあらゆる所に散乱していたのですが、
食料のゴミが一切ありませんでした。
残された冷蔵庫の中身も何も入っておらず、
一体どんな生活をしていたんだと、不気味さが更に増しました。
極めつけにテーブルの上いっぱいに残された大量の薬品。
恐らく精神安定剤の類だと思いますが、
その数がとにかく異常でした。
精神を病んだ末の失踪。
そう思わずにはいられないこの光景と、
どんなに身体を動かしても止む気配が無い寒気。
この部屋にはきっととんでもないモノが住みついているんだという事が
ヒシヒシと伝わりました。
終始寒気に襲われながらも
一刻も早くこの現場から立ち去りたい一心で作業を進め、
何とか昼休憩の前には残置物の撤去が終わり、一息つきました。
そして午後から解体作業を急ピッチで進めました。
茶の間の横の天井のボードを落としていると、何やら箱のような物が落ちてきました。
見てみるとその箱はブリキで出来た煎餅等が入っていそうな箱でした。
(なんでこんな物が天井裏に?)
そう思いながら、箱の蓋を開けた瞬間、強烈な吐き気に襲われました。
嗚咽しながら箱の中身を恐る恐る覗いてみると、
大量の長い髪の毛と、男女のツーショット写真、
そして血のようなものがべったりと付着した包帯で巻かれた小さな”何か”が入っていました。
私は驚きのあまりその箱を床に落とし、腰を抜かしてしまいました。
「どうしたんですか?」
心配してこちらに来てくれた後輩も間もなく箱の存在に気付き、
驚愕のあまり腰を抜かしました。
怨念は確かに怖いですね。
男を恨み続けていても仕方ないけど、よほど中絶が辛かったのだと思います。
だけど私としては、その男を地獄に陥れたとしたのなら他の人を巻き込む必要はないと思いますね。
なのに何故まだこの世に自分の思いだけを残しているのか?
自分の彼との区別できていないのかもしれませんね?
自殺となるとこの世に残した思いだけが残り自分の赤ちゃんの脱け殻だけを抱いて中絶した我が子とは会えていないのかそれとも赤ちゃんの泣き声は親の思いから抜け出せない鳴き声なのかも?
有る意味赤ちゃんにとっては地獄
許せない思いから呪いに変わってますね。
中絶せず1人で頑張る選択肢が無かったのかな。
怖いけど悲しい、話だなとおもった