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心霊

F16さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

にやにやと笑みを浮かべる不愉快な子供
短編 2021/11/10 11:51 953view

 私の家から車で十分くらいのところに、県内でも有数の規模を誇る公園があります。アスレチックや広場があるほか、自然を満喫できる作りになっているため、よく老人を初めとして多くの人が散歩をしています。私は散歩が好きで、自然も好きなので、わざわざ車を走らせて、園内を気ままに歩き回っていました。

 ある日、私は仕事帰りにその公園に寄りました。もうすっかり夜になっていましたが、ちょっと嫌なことがあり、どうしてもリフレッシュのためにこの公園を散策したくなったのです。幸い規模の大きい公園なのでそこかしこに灯りが設けられており、またスマホのライト機能を使ってもいたので、特に周りが見えないというようなことはありませんでした。

 ほとんど初めての夜の公園でしたが、その幻想的な雰囲気に思わずハッとさせられました。昼とは全く違う顔を持っているのです。木々のにおいがいつもより色濃く感じられました。

 園内にはいくつかの池があり、私はそのうちの一つの周りをぐるぐる回りました。考え事をしたかったのもあり、とにかく歩きたかったのです。そこでふと、私は誰かの視線を感じました。そちらの方に目を向けると、灯りの下に少年が立っているのが見えました。その少年は、にやにやと笑みを浮かべていました。嫌な笑顔でした。

 私は無視して歩き去ろうとしましたが、その視線は、まるで突き刺さるように私をじっととらえており、流石に不愉快になりました。子供とはいえ、そんな風に不躾に視線をぶつけるべきではないだろうと、私は思いました。そこで立ち止まって睨み返したのですが、子供は全く動じないといった様子でした。それどころか、さらににやにやと笑いだし、やがて動物の鳴き声のような甲高い声を発し始めました。それは子供の笑い声でした。気味が悪いと感じた私はその場を立ち去り、公園の駐車場に戻って車に乗り込みました。ただでさえ気が滅入っていたのに、とんだ災難だと思いました。

 そこでふとバックミラーを確認すると、少年のにやにや笑いが映っていました。私はヒッと小さく声を上げました。それからすぐに振り返りました。

 しかし、そこには誰もいませんでした。もう一度、恐る恐るバックミラーを確認したのですが、何も映っていませんでした。なんだ、見間違えか、と私はため息をつきました。とても疲れていたのでしょう。

 帰宅した私は、なんとなく、改めて後部座席を確認しようと思いました。後部座席のドアを開けると、そこにはやはり、何もいませんでした。私は一安心し、しかしどことなく悪い予感がして、後部座席にそっと触れてみました。すると、その席がぐっしょりと濡れていることが分かりました。

 今思うと、私は後部座席に触れるべきではなかったのでしょう。そうすれば、あの時車には何も乗っていなかったのだと、そう思ったままでいられたのですから。

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