ある夜の散歩、雑木林を通り抜けたら……
投稿者:F16 (7)
私は、散歩が好きです。歩いていると、嫌なことが忘れられるからです。それに、運動不足解消にもなります。ということで、私はその日も、仕事を終えてから、真っ暗な外に出ました。散歩は夜の方がいいです。程よく涼しいですからね。
私は、いつもの道をいつものように歩いていました。その時ふと、「この道を通ったらどうなるんだろう」という気持ちになりました。いつもと違う、通ったことの無い道でした。国道を逸れたところにある、田舎道です。街灯もあまりないのですが、その日はなんとなく、その道を通ってみようとなりました。たぶん、気分転換をしたかったのでしょう。
しばらく歩いていると、雑木林が現れました。その中を、細い道が通っています。引き返した方がよさそうだな、と私は思ったのですが、よく考えると、ここは以前車で通ったことのある道で、ここをまっすぐ行けば、家の近くに出ることを思い出しました。そこで、近道になるのならとそのまま進むことにしました。
うっそうとした雑木林に少し不安感がありましたが、距離はそんなにあるわけでもなく、子供じゃないんだから、と、自分を鼓舞しました。それに、ちょっとスリルがあってむしろ楽しんでいた節もあります。ワクワクと緊張が織り交ざる中で歩き続けていると、ふと右肩が急に重くなりました。なにかが載っているような、そういう感覚です。しかし、もちろん肩の上には何も載っていません。たぶん肩こりか、気のせいだろうと思い気にしないでいると、肩はますます重くなりました。流石に不安になり、右肩に触ってみたのですが、やはりそこには何もありません。私は不安になって、小走りで雑木林を抜けました。
すると、肩はふっと楽になりました。なにかにとりつかれたのだろうか、と思いましたが、たぶん錯覚だろうと思い直しました。そして、自分結構ビビってたんだなと情けなくなりました。
家に帰り、風呂に入るために服を脱ぎました。そしてふと鏡を見ると、右肩に何かあざのようなものが見えました。こんなところにあざなんてあったっけとよく見てみると、そのあざは、いくつかの塊がまとまっているようでした。さらによく見ると、あざは後ろの方にも繋がっています。そこで、鏡ではなく直に確認すると、そのあざは、手形のような形をしているのでした。
不思議なことに、そのあざは翌日には消えていました。今でも、もしあそこで立ち止まっていたらと思うと、ぞっとします。
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