お墓の前を走っていると音楽プレーヤーが壊れた……しかし
投稿者:F16 (7)
私は、よくジョギングをします。健康維持のためと、気分をリフレッシュさせるためです。
私のジョギングコースには、お墓があります。これは仕方がないことで、この道を通らないとどうしても遠回りになってしまい、走りたい距離を優に越してしまうからです。ただ、私はお墓ということでもあまり気にしませんでした。走るのは夜ですが、そんなものを怖がっていたらホラー映画なんて観られない、子供ならまだしも、という感じでした。
ただ、お墓の前を通る時に、気になることが起こり始めました。それは、私は音楽を聴きながらジョギングするのですが、お墓の前を通る時だけ、無音になるのです。初めは偶然だと思っていましたが、お墓の前を通ると音楽はぴたりとやみ、通り過ぎるとまた流れ始めます。私の音楽プレーヤーは古いもので、たまにバグという感じでこういうことは起こるのですが、お墓の前でだけというのはちょっと……。流石にこれは、何かしら怨念とかがあるのかもしれない、と思い始めました。
とはいえジョギングに支障があるわけではなく、コースを変えるのも億劫なので、私は特に気にしませんでした。
そんなある日、私は少し頭痛を抱えながらも、ジョギングに出かけました。体調不良ではあったのですが、習慣というものはなかなか変えられませんでした。走らない方が気持ちが悪いのです。だから、まあ走っているうちによくなるだろうと、私は外に出たのでした。
しかし、頭痛はよくなるどころかひどくなりました。私はジョギングからウォーキングに切り替えました。なんだかくらくらします。そういう状況で、例のお墓の前に辿り着きました。やはり、音楽は聞こえなくなりました。それと共に、頭痛はひどくなりました。
その時、目の前に車が急ブレーキをかけて止まりました。あまりの出来事に、私はひどく驚きました。そして、ふと周りを見回すと、私は自分が道路のど真ん中に立っていることに気づいたのです。車のドアが開き、運転手が出てきました。運転手は何かを喋っています、しかし、私には何も聞こえませんでした。口が動いているし、明らかに私に話しかけているのです。雰囲気的に、怒鳴っているのでしょう。
そこでようやく、私は、壊れていたのは私の音楽プレーヤーではなく、私の耳だということに気づきました。
私はしどろもどろになりながら事情を説明し、なんとかお墓から遠ざかりました。それに伴い私の聴覚は回復しました。運転手さんによると、彼は何度もクラクションを鳴らしたそうです。しかし私は気づかなかった。
あのお墓には一体何があるのでしょうか。あるいは私は、死に誘われていたのかもしれません。この出来事があって以来、私はあのお墓には近づかないようにしています。
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