事故物件を舐めていた私への天罰
投稿者:F16 (7)
私は、貧乏学生だった頃、一度「事故物件」に住んだことがあります。大家さんによると、ここで女性が自殺をしたということで、家賃は部屋の広さの割にかなり安かったため、なるほどな、そんな上手い話はないよな、と思った記憶があります。
ただ、立地が良く、何より格安だったので、また、事故物件に幾ばくかの興味があったので、私は借りてみることにしました。若い頃だったので、いろいろと無謀でしたし、事故物件の恐ろしさというものを、私は全く知りませんでした。
住んでみると、初めの方は何も起こらずに拍子抜けでした。そして、事故物件なんてこんなものだろうとも思いました。しかし、私はふと、部屋に長い髪の毛が落ちていることに気づきました。一人暮らしを始めたばかりで女性を家に上げたことはないため、私は気分が悪くなりました。これが事故物件か、とぞっとしました。
ただ、何度もそういうことが起こるうち、私は慣れていきました。たかが髪の毛だし、捨ててしまえばいいのです。だんだん「今日はどこに落ちているんだろう」みたいに楽しみになってきて、友だちにも笑い話として部屋に落ちている女の髪の毛について喋っていました。
ある日、洗面所で歯磨きをしていると、突然吐き気に襲われました。喉に何かが引っかかっている感じでした。えずきながらその「何か」を必死に吐き出してみると、それは髪の毛でした。長く、束になった髪の毛が、ずるずると引き出されました。
私は慌てて引っ越しました。今思うと、霊とか怨念とか、そういうものを「舐めていた」私に天罰が下ったのだと思います。
事故物件をなめては、いけません。