つじつまは合わせないといけないよ
投稿者:峰 (38)
短編
2021/11/07
21:08
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「そうでしょ?つじつまは合わせなきゃ。結局どっちがいいの?あっち?それともこっち?」
と尋ねてきた。
Sさんが何も答えられずにいると、その人は「仕方ないなあ」というような顔をして、突然Rを指さした。
「嫌いなんでしょ?」
その瞬間、Sさんはその言葉がストンと胸に落ちて、「ああそうだな」と思ったらしい。それで、
「はい」
と答えた。
気がつくと、朝になっていて、Sさんはベッドの上で泣いていたという。
その夢を見てから2日後に、Rが交通事故に遭ったという知らせが届いた。
Rは重体で、意識不明の状態から戻らないらしい。
「それでね、今もRは意識不明のままなんだよね」
中学生になったSさんが、ひとしきり話し終えたあと、そう言った。
「でも、私には分かるんだよ。意識が戻ったとき、Rはあの夢の中みたいに優しくなってるはずなんだ。今は、“つじつまを合わせている”最中なんだよ。だからRが目を覚ましたら、今度こそ本当に、私がRの親友になってあげるんだ」
ニコニコと笑いながら話すその時のSさんが怖くて、私は大人になった今でもこの話が忘れられない。
Sさんとは中学を卒業して以来連絡を取っていないが、彼女はいま、どうしているのだろう。
そして、Rはどうなったのだろうか。
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継続夢ですね。それもこちら側の世界とは違う、並行世界の別の自分の記憶を夢の中で見れる。多分、夢の中で実際に向こうの世界の生活を送っていたのでしょうね。
私も昨年、職場の人間関係がこちら側と全く違った並行世界の継続夢を見ていた事があります。
有識者の方に相談したら『現実世界とその夢の中の(並行)世界の記憶を統合し(向こう側への世界の執着を捨て)なければ、向こう側から戻って来れなくなるかも…』と言われました。
この話の中で『(現実世界と並行世界の)つじつまが合わなくなる』と言った方は、その様なことを言いたかったのだろうと思います。
もし、この話の主人公である彼女がRさんのことをかばって『(夢の中の)Rさんを好きだ』と言っていたら、主人公である彼女が現実世界から戻って来れなくなっていたところでしたでしょうね。。。
私も人間関係で悩んでいますが、そんな夢を見ません。まだまだ軽い程度なのでしょうね。
人間関係の悩みに、軽いも重いもありませんよ。
どうぞご自身を労わってあげてください。
興味深い話しでした。
なんでSさんが怖いの?
めちゃ優しい人じゃん。マジで1ミリも意味不明