おばあちゃんと母
投稿者:キミ・ナンヤネン (88)
私はおばあちゃんと母の3人暮らしだったのですが、亡くなった父の遺産と保険金で東京の大学まで行かせてもらっていました。
学校を卒業して就職し、一人暮らしをしていた時の話です。
当時はまだ携帯電話は普及していなくて、連絡は今で言う固定電話か、実家からの手紙でした。
ある時、仕事が大変で忙しいと母と電話で話したことがあったんですが、それから毎月のように母から荷物が届くようになりました。
最初に荷物が届いた時は、インスタント食品などと一緒に手紙が入っていました。
母は、私が忙しいことに気遣ってくれて、電話ではなく手紙で連絡や近況報告をしようとしていたようです。
その内容は「元気で暮らせていますか?」とか「忙しい時にはこれでも食べなさい」といったもので、それくらいの物ならこっちでも買えるのですが、とてもありがたかったです。
荷物の中には、手紙の他にもうひとつ封筒があり、中には1枚の写真が入っていました。
その写真は、おばあちゃん、母、私の3人で旅行に行った時のものでした。
その封筒には手紙などは無く、写真だけが入っていました。
後日母に電話すると、そんな写真は入れてないけど、もしかしたらおばあちゃんが入れたのかも、という返事でした。
その翌月にまた荷物が届き、レトルト食品と手紙、そして写真が入った封筒が入っていました。
写真を見ると、先月届いた写真と全く同じ写真でした。違う所と言えば、祖母の顔が少し暗くなっているかな?という程度でした。
手紙を読むと、おばあちゃんは少し体調を崩して病院通いを始めたけど特に心配はいらない、とありました。
後日母に電話すると、そんな写真は入れてないと言っていました。
翌月また荷物が届き、非常食と、手紙、そしてまた写真が入っていました。
写真は、祖母の顔が先月の写真より黒ずんでいたような気がしました。
先月の写真と比べようとしたのですが、その写真はどこにも見つかりませんでした。
手紙には、おばあちゃんが1週間の検査入院をするけど、特に心配はないということでした。
後日母に電話すると、そんな写真は入れてないと言っていました。
その翌月にもまた荷物が届き、有名デパートのお菓子の詰め合わせと、手紙、そしてまた写真が入っていました。
写真はまた先月と同じ物でした。おばあちゃんの顔は先月の写真よりもさらに黒ずんでいました。
写真を入れようとしてフォトフレームまで買ったのですが、顔が黒ずんだ写真を入れるのは気が引けるので、写真はどこか奥にしまっていました。
しかし、先月のその写真は、なぜかまた見つかりませんでした。
手紙には、おばあちゃんの検査結果が良くなくて1ヶ月ほど入院するけど、きちんと治療してるから心配ないとの事でした。
何とかシンドロームって奴かな?