真っ赤なワンピースの女、地元で話題の心霊スポットにて
投稿者:F16 (7)
「でも、女の幽霊が出る時間帯が、この時間っていう話じゃん」
「あ、そうだったか」
お墓を出るころには、辺りはすっかり暗くなり、時刻はもう夜でした。秋の日は釣瓶落としとは、まさにこのことだと思いました。
私たちは、せっかくレンタカーを借りたということで、ちょっとドライブをしたり、この近くにあった美味い定食屋に寄ったりしました。コンビニで食べ物を買っていたので、あまり食べられませんでしたが、テンションは上がっていたように思います。
やはり、何も無かったとはいえ、暗い中でお墓を「探検」するというのは、それなりにアドレナリンを放出させるような出来事だったのでしょう。
私以外のメンバーは、瓶ビールを頼んでいました。まるで何かの勲章みたいでした。
翌日、大学に行くと、Aが休んでいるということを知りました。Aが休むというのは、滅多にないことで、前日に心霊スポットに行ったということもあり、私はなんとなく不穏なものを感じました。
しかし、まあ考え過ぎだろうと自分に言い聞かせ、講義を受けました。
講義のあと、Aにラインをすると、「体中が腫れて痛い」といった旨のことが書いてありました。
どういうことかと詳しく聞くと、顔や腕、脚、お腹や背中などの一部に、大きな腫れが生じてしまい、それがとても痛いんだということでした。
「まるでおたふくかぜだよ。顔に関しては」と、Aはラインしてきました。
結構な腫れだなと私は思いました。おそらく、リンパに何かしらの原因があるのでしょう。
昨日のこととは関係なく、疲労が溜まっていたとか、細菌が入り込んだとか、そういうことだろうと解釈しました。
帰りに見舞ってやるかと考えていると、違う学科の知り合いから、声をかけられました。
「お前さ、昨日車乗ってたでしょ?」
「え? まあ、そうだけど」
「やっぱり。暗かったからよく見えなかったけど、やっぱお前だと思ってたよ」
「そっか。昨日、ちょっとドライブしてたんだよ」
「レンタカー?」
「うん」
「へえ。それにしても、お前、彼女いたっけ?」
「え?」
「助手席に女の子乗せてたやん」
「いや、乗せてない」
助手席に乗っていたのは、Aでした。
「嘘つくなって。たぶん真っ赤のワンピース着てたっしょ。大学の子?」
私の耳にはもう、彼の言葉は入ってきませんでした。
真っ赤なワンピース。それは、あの女の霊の特徴に符合します。そして、助手席に乗っていたはずのAは……。
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