だから俺たちは海釣りをやめた

満月の夜に車が停まっているから不安になり助けてくれたようだ。

満月に近くなると地域の人が立ち入り禁止の看板を置いていたらしいのだが、
たまたま前日の強風で飛ばされたようで俺らは侵入してしまった。

ここで釣れた魚は捨てていけと言われ、俺らは泣く泣く捨てた。
そして「もう夜に釣りはしない方が良い」と言われた。
そのままその秋は釣りをせず、冬になりスノボにのめりこんで
釣りに行く機会はなかった。

が、春になりどうしても釣りがしたくなり、夕方にまた3人で釣りに行ったんだ。地元の海へ。

久しぶりの釣りにテンション爆上げで気付けば日が落ち、完全に暗くなる前に帰ることに。

しかしエンジンがかからない。
古い車だし走行距離は20万キロを超えているし、エンジンがかからないのはたまにあった。
このタイミングかよ、、と何とかエンジンをかけようとするが、なかなかかからない。

やっとの思いでエンジンがかかった頃にはもう夜だった。
なんとなく嫌な気配がして、クラクションを鳴らした。

少し開けた窓の外から、

「ボトボトッ」と嫌な音がした。

以来、俺たちは海釣りをしなくなった。