事件記録:行方不明事件について
投稿者:藤野 (11)
え?
(カタン、という音)
し、下から。
(カタン、という音)
なんで……。
(衣服が擦れる音)
(カタン、という音)
(硬い物同士がぶつかるようなカタカタという音)
え……っ。
(ここで激しい雑音が入り、すぐに蝉の鳴き声だけが聞こえる)
(蝉の鳴き声)
(録音時間を過ぎて切れる)
資料4 (元凶と思われる)
かつてM市のとある山には、色欲に溺れ女を攫いついには食べた男がいた。
仕事もせず金もなくなり、生きる為に抱いた女だけでなく子供や男も攫って食べた。
そして山に近づく者を全て食べてしまうその男は、鬼と呼ばれるようになる。
だが彼は死んだ。
なぜ死んだのかは誰も分からないが、男はいつのまにか死んでいた。
なぜ男が死んだのを誰も分からなかったかと言うと、男が死んでからも山に近づいた人が皆いなくなっていたのだ。
男は鬼と化し死んでもなお人を攫い続けていた。
それに気づいた一部の人々は、男を神として山に祀ろうと考えた。祀ると言っても、それは表向きで、本当は鬼を閉じ込めようとしていたのだ。
攫われないように必ず単独行動を避け、山の土の中に和室を作った。
もとの家にあったものを全てそこに入れ、〝鬼〟を誘い込む為村にやってきた六部の女を部屋に閉じ込めた。
そしてその上に神社を作り、表向きは鬼を祀って鎮めているということにする。
結果は、成功だった。
山に近づいても攫われる者はいなくなった。
しかし、数十年後、少女がいなくなる。
鬼のことを覚えていた数少ない村人達は、自らもう朽ちた神社を壊し、そこに家を建てさせた。
そこに人が住めば、犠牲になるのはその家の住民だけだと考えたのだろう。
村の年寄りはそのことを絶対に他言せず、若い村人達はそのことを知らないので、次第に山の神隠しは忘れられていった。
そんな中一部の家では、自分の家系を守るため家族にだけ語り継いだという。
面白かったです
もう少し歴史的背景や不快描写を掘り下げられたら、「みさき」「けりよ」に並ぶ名作になるかもしれないですね
やっぱ「みさき」思い出すよねえ
思いのほか録音の文字起こしが臨場感あって良かった
面白かったです。読んでいて気持ち悪くなるぐらいにはリアルな描写だったし、筆者はこれが実話でないにしても似たような経験がある?
不思議と引き込まれていった。主の文才が凄すぎる。ハッとするなぁ
PVの読書バージョン?
幽霊の鬼を、物理的に閉じ込められるの?
単独行動して攫われた人について、どうして村人は鬼をのせいだと分かったんやろ。
地下部屋から女が居なくなったと村人はなぜ分かるの?
音声部分はリアリティあったけど、解説部分はご都合ファンタジーでよく分からなかった