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特別投稿

礎吽亭雁鵜さんによる特別投稿にまつわる怖い話の投稿です

よく見える薬
長編 2026/09/06 00:50 63view

お互いの実家への挨拶
まずはうちの実家から挨拶することになった。
結婚の挨拶をしたあとは家で簡単な食事会となり母の手料理が振舞われた。
うちの母は昔から肝っ玉母さん的なおせっかいなタイプで、しきりに彼女に「Aちゃんはもっといっぱい食べなさいよー」と勧めていたが彼女は食が細めであまり多くは食べられないのだとフォローする必要があった。

次に彼女のご実家にご挨拶にうかがった。
始めてお会いする彼女のご両親であったが、非常に歓迎され、お義父さまからは「娘が結婚すると聞いて驚いたし、こんな素敵な男性を連れてくるとは夢にも思っていなかった。ぜひ娘をよろしく頼む。」と深々と頭を下げられ恐縮してしまった。

次にこれから二人で住むための新居も当然探さなくてはならなかった。
新婚生活とは言ってもこれからますます入り用となるので貯金をするためにもできるだけ家賃が安いところを探す必要があった。
不動産屋にはかなり低めの予算でまずは探してもらったために候補はどうしても古いアパートしかなかった。
間取りなどを見比べていくらかましそうな築30年のアパートを内見したが写真より外観も内装もきれいだった。

もちろん築30年なので相応に古さを感じるがそれも味なような気がして1軒目だったがそこに決めることにした。
彼女も「まあ古いけど立地は悪くないしお金貯めなきゃだからね・・・」と納得してくれた。

入籍は来年の2月、結婚式は親族のみでささやかではあるけど4月にする予定でこれらの準備もあるのだが、
その前に今年もやってくるクリスマスと年末の繁忙期を乗り越えなくてはならない。
毎年この時期は目の回るような忙しさに辟易してしまうが、今年は彼女の支えもあるので力がみなぎってくるようだ。

繁忙期に突入すると毎日仕事に追われ目が眩むような日々で、大小さまざまなトラブルもあったものの無事になんとか今年も年末を乗り切ることができた。
うちのスーパーは年末こそ31日の深夜まで営業するが3が日は休みになっているので明日からは疲れきった体を休めるために使おうと朦朧とする眼をこすりながらベッドに入った。

そして元旦の朝を迎える。
昼まで爆睡だろうと思っていたが最近早起きが続いていたせいか目が覚めてしまった。
このまま二度寝するか一度トイレに行こうか考えていると不意に違和感を感じた。

視界がぼやけている。
しまった。
処方されていたヨクミエールを11月に全部飲み切ってしまっていて病院に行かねばと思っていたがあまりの忙しさで忘れていたのだった。

しかもよりによって正月なので病院は当然しばらくお休みだ。
せっかくの正月休みだってのに不便だなと愚痴りながらベッドから立ち上がりトイレに向かう。
今度は目の前のドア、そして壁が気になり見えにくい目で見回す。
顔を近づけてよく見るとドアノブは少し錆が浮いているではないか。
壁は壁紙が一部剥がれ落ちていてなんともみすぼらしい。残っている壁紙も少し黄ばんでいて汚らしく見える。
たまらず他の場所も調べる。
フローリングも天井もトイレも風呂も全て、昨日までは味がある古さだったのに今はただボロくて汚いだけの家になってしまっている。

3/4
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