付箋だけ残っていました。
受付台帳も確認しました。Kという名前も、十二枚撮りのフィルムを預かった記録もありませんでした。
ただ、レジの売上は、現像代と十三枚分のプリント代が合っていた。
——男から受け取ったのは、十二枚分ではなかったのですか。
そのはずです。
当時は一枚単位でプリント料金が加算されました。私は十二枚として金額を伝え、男もその金額を払った。それなのに、レジの記録では十三枚分になっていました。
不足金も過剰金もありませんでした。
店長には、私が受付を台帳へ書き忘れたのだろうと言われました。写真についても、客に返したことを忘れているだけだと。
そう言われると、反論できませんでした。
——その後、同じ客は来ましたか。
一度だけ見た気がします。
翌年の春、駅の反対側ですれ違いました。
顔を覚えていなかったので、同じ人物だったかは分かりません。ただ、その人が透明な写真袋を持っていたんです。
袋の一番上に、うちの店内を写した写真が入っていました。
カウンターの内側から撮った写真です。
そこに立っていた店員は、私ではありませんでした。
*
取材の最後に、Sさんは一枚の紙を見せてくれた。
当時、忘れ物の保管箱に残されていたという付箋である。
粘着力は失われ、紙の端には黒い汚れが付着している。表には日付と受付番号、それから「写真一枚」と記されていた。
受付番号に該当する注文が台帳に存在しなかったため、Sさんが自宅へ持ち帰ったという。
「字は自分のものです。ただ、こんな色のペンは店にありませんでした」
記載には、薄く褪せた紫色のインクが使われている。
私は付箋の両面を撮影し、その場でSさんに返した。
帰宅後、写真をパソコンへ移して確認したところ、付箋の裏側にも文字が写っていた。
肉眼で見た時には、何も書かれていなかった面である。
表と同じ筆跡で、短くこう記されていた。
「十三枚目 取材者預かり」
念のためSさんに画像を送ったが、そのような文言を書いた記憶はないという。
付箋はいまもSさんの手元にある。























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