一九九八年の秋、郊外の駅前に、深夜二時まで営業する写真店があった。
フィルムを預ければ、早いものなら一時間ほどで現像と同時プリントを受け取ることができた。店内で証明写真を撮り、使い捨てカメラやアルバムを買うこともできたという。
現在、その店舗は残っていない。
以下は、当時アルバイトとして夜間勤務をしていたSさんへの取材内容を整理したものである。
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——写真店で働き始めたのは、いつ頃ですか。
九七年の春です。専門学校に通っていたので、夕方から閉店まで週に三、四日入っていました。
店は駅の北口から歩いて三分くらい。大通り沿いではなく、商店街を一本入ったところです。隣がクリーニング屋で、向かいにはレンタルビデオ店がありました。
——深夜でも客は来ましたか。
終電の前後はそれなりに。
旅行や飲み会の帰りに、使い捨てカメラを持ってくる人が多かったです。当時は、撮った写真をその日のうちに見たい人がいたんですよ。現像機は十一時頃に止めることもありましたが、「どうしても」と頼まれれば動かしていました。
——問題のフィルムを持ってきた客について教えてください。
若い男でした。
大学生くらいだったと思います。痩せていて、黒っぽいジャンパーを着ていました。眼鏡はかけていなかった。髪型や顔は、もうほとんど覚えていません。
ただ、フィルムだけを裸で持ってきたのは覚えています。
普通はカメラごと持ってくるか、ケースに入れてきますよね。その人は三十五ミリのパトローネを、ポケットからそのまま出したんです。
——フィルムの種類は。
十二枚撮りのカラーネガでした。
その頃でも十二枚撮りは少なかった。店で売っていたのは、ほとんど二十四枚か三十六枚です。珍しいなとは思いましたが、古い買い置きなのだろうと考えました。
受付は午後十時四十分頃でした。
一時間仕上げを頼まれて、受付袋の名前の欄には「K」とだけ書かれました。電話番号は空欄です。
——偽名だと思いましたか。
別に。そういうお客さんはいましたから。
写真の内容を店員に見られたくない人ほど、名前を書きたがらないんです。こちらも、料金さえ払ってもらえれば深くは聞きませんでした。
その人は引換券を受け取ると、「日付が変わる前に戻る」と言って出ていきました。
——現像中に異常はありましたか。
機械は正常でした。
フィルムを引き出して薬品の槽を通し、乾燥したネガが上から出てくる。そこまではいつもどおりです。
ネガを確認すると、画像が十三コマありました。
——十二枚撮りのフィルムに、十三枚写ることはないのでしょうか。
























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