数日後。
娘が椅子に座っている写真。
首から、赤い糸で結ばれた小さな銀色の飾りが下がっていた。
古びたコインのような形で、表面には見慣れない記号が刻まれている。
何かの宗教的なものなのか。
魔除けのようにも見えた。
次の写真でも、娘は同じものを身につけていた。
翌日も。
その翌日も。
写真の中で、両親は娘の首元ばかりを確認している。
ずれていないか。
裏返っていないか。
糸が切れていないか。
なぜそんなことをしているのか、すぐには分からなかった。
3日後。
洗面所の鏡の前で撮られた写真。
娘が立っている。
首には銀色の飾り。
鏡にも娘が映っている。
一瞬、違和感を覚えたが、何がおかしいのか分からなかった。
見比べて気づいた。
鏡の中の娘には、その首飾りがなかった。
次の写真。
今度は鏡の中にもある。
さらに次。
娘本人にはない。
鏡の中にだけ、銀色の飾りが下がっている。
写真はそこで終わっていた。
翌朝から、父親の顔つきが変わった。
目の下に濃い隈がある。
母親も笑わなくなっている。
弟だけが、まだ何も分かっていないようだった。
深夜。
娘の部屋のドア。
外側から椅子が何脚も積まれている。
その上に小さな棚まで倒してある。
ドアノブには、あの赤い糸が何重にも巻きつけられていた。
翌朝。
同じ廊下。
椅子も棚も、赤い糸も、
ドアの反対側にあった。
廊下に散らばっている。
ドアは開いている。
次の写真では、娘が朝食を食べていた。
首元に銀色の飾りはなかった。
その日から、娘はほとんど笑わなくなった。
代わりに、別の癖がついた。
写真を撮られるたび、
誰かの顔を見るようになった。
母親。
父親。
弟。
カメラではなく、必ず家族の誰かを見ている。
その視線は、助けを求めているようにも、何かを確かめているようにも見えた。

























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