親戚は答えた。
「ただね……」
声が少し小さくなった。
「お母さんが死ぬ少し前に、一度だけ言ってた」
「何を?」
「『あの人は、まだ家にいる』って」
僕は何も言えなかった。
⸻⸻
翌日。
測量士と一緒に、もう一度実家へ行った。
解体前の最終確認だった。
僕は、
「この周辺で、昔から何か変な話ありませんでした?」
と聞いた。
測量士は苦笑した。
「いやあ、僕は初めて来たので」
そのとき。
廊下の奥から、
コン、コン。
と音がした。
僕と測量士は同時に振り返った。
あの収納の方だった。
「……今の音、聞きました?」
「はい」
僕は鍵を取り出した。
扉を開ける。
中には、
あの段ボール箱。
昨日と同じ。
その奥に、
もう一つ箱があった。
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