序章
嘗(かつ)て、この村では不思議な風習があったそうだ。それを調査していた警察官が二人、この警察署に勤めていたらしい。現在この警察署に勤める僕は、先輩からその話について聞く事にした。
「先輩、教えてください。この村——石鬼(いしき)村の風習」
「うん、嫌だね。——と思ったけど、どちみちいつか聞く事になるだろうから話すよ。あれは——」
『風習という名の、恐ろしい事件だ』
第一章 事の発端
「……なぁ、空田(そらだ)は可怪(おか)しいと思わないのか」
「……何がだ」
「この村、異常に行方不明者が多くないか?それだけじゃない。殺人だって数え切れないほど起こってる。容疑者は判(わか)っているが、現在行方を眩(くら)ませているし……」
この村——石鬼村では、奇妙な風習があった。それは産まれた時に、親とは違う姓・名を貰う事だった。稀に空田のように同じ事はあるが、大体は家族全員違う名前だった。そして名前は、死に方を表しているというのだ。
「……何を言いたい?」
「この村の怪死について調べないか?何か行方不明者を減らす方法があるかもしれない。」
空田は調査に付き添ってくれる事になった。すると、衝撃的な事を言い出した。
「実はな……犯人の場所は大体判ってんだ。」
「……っは!?」
「柿田(かきた)も知ってるだろう。あの『格清邸(かくせいてい)』だ。元々、犯人——格清創也(そうや)はそこに住んでいたらしい。」
格清邸。それはこの村で最も有名な幽霊の出る屋敷——所謂(いわゆる)心霊スポットだった。
「でも、そこに居るとは確定できないだろう。」
「まぁ確かにそうなんだが、高確率で居ると思うぞ。格清邸の噂ってのがあってな。深夜に人の声が聞こえる、建物内で灯が見える、窓から人影がすぅっと動く、とかな。あと、人の出入りも目撃されてる。」
「それが、格清創也か……」
「いや、まだ判(わか)らない。こういうのはあんまり信じすぎない方がいいぞ。違った場合どうすればいいか判らなくなる。」
「取り敢えず、今度格清邸に行くか。」
数日後、丁度俺と空田は休みがあった。だからその日、二人で格清邸へと行く事にした。明るい時間帯は人がいる為入りにくい。行くのは夜八時頃にした。
実際に行ってみて驚いた。噂には聞いていたが、かなりの襤褸屋(ぼろや)だ。
「これ、入れるのか……?」
「なんとか入れる所を探すしかないな。」
数分探していると、ぎりぎり入れそうな所を見つけた。懐中電灯を点けて入る。木材が湿気っている所為(せい)か歩く度にパキ、ミシ、と音が鳴る。
「なんだこれは……」
『大量の……お札(ふだ)か?』

























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