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呪い・祟り

Mineさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

電車で業
短編 2026/09/28 22:40 52view

「怖い話ですか?一応ひとつありますけど・・・、でも僕じゃなくて知り合いの体験談ですけどいいですか?」
もちろん、ぜひ。と俺が応じると三浦さんは神妙な面持ちで話してくれた。

三浦さんのかつての知り合いにYさんという男性がいた。
Yさんには一目見て分かる身体的特徴があり、それは左腕がない、ということだった。
先天性のものではなく事故で片腕を失ってしまったという。
事故、というと少々語弊があるのでより正確に言えばYさんは電車に飛び込み、自殺を図った過去があるそうだ。
なんでも投資に失敗して一千万近くの借金を抱えてしまい首が回らなくなり、更に追い打ちをかけるように長い間連れ添った彼女から別れを告げられ人生のどん底に叩き落とされたYさんは半ば突発的にふらり、とホームに入ってきた電車の前に飛び込んだという。
しかし不幸中の幸いというか、片腕を失うだけで命を失うには至らずに終わった。

それから退院してからは暫くリハビリに励みながらカウンセリングを受けつつ、人生の再起を図ったYさんはまず借金を自己破産で帳消しにし、さらに知人のつてを頼りとある会社に障害者雇用で働き始めたという。
失ったのが利き腕ではない方の腕だったのも、早めの社会復帰の後押しとなったそうだ。

もう一度やり直そうと生きる活力を取り戻し、時には周囲の助けを借りながら片腕だけの身体で毎日精一杯頑張るYさんであったが、一つ悩みの種があった。

それは失ったはずの左腕の痛みである。

医者によれば、それは幻肢痛という物で四肢を欠損した人の多くに起こる痛みだと説明を受けた。通常なら時間の経過と共に症状は和らいでいくという。
当初は処方された薬で凌いでいたがそれでも痛みはなかなか落ち着かない。
それどころか日を追うごとに痛みの強さは増していくような気もしてくる。
今はまだ大丈夫だがこのままでは仕事にも支障が出るかも知れない。
けれど病院に行ってももう少し様子を見ましょう、と薬の量を増やされるだけであった。

そんな痛みに悪戦苦闘しながら数ヶ月が過ぎたある晩のこと。
これまでに無いほどの激痛にYさんは夜中に目を覚ました。
今までの何とか我慢はできる、というレベルを遙かに超えた強烈な痛み。

とりあえず処方された薬を飲もうと身を起こそうとした時、異変に気付いた。
どういうわけか身体が首から下が全く動かない。
こんな時に金縛りかよ、と必死で全身に力を込めるYさんの耳が奇妙な音を捉えた。

ガリッ・・・ガリッ・・・グチャッ。

音の出所の方に顔だけを向けると、なにやら部屋の片隅に黒い影のような物が見えた。
目をこらして見るとそれは座り込んでいる人であったという。

暗闇に慣れた目で更によく見ると体型や髪の長さから女性だと分かった。
女は俯き、死人が着るような白装束に身を包んでいる。
髪に隠れてよく見えないが女は両手で何かを顔の近くまで掲げ持っていた。
一時、痛みを忘れ声を出せずにただぼんやりと女を眺めていたYさんだが、ふいにその女が何をしているのかを理解し、頭の中で絶叫した。

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