◇ ◇ ◇
「そこから、もう身体を売るのはやめようと思ったの。あんな怖い体験、二度としたくないし」
そういってタバコを燻らせるシノさんに、私は何も言えなかった。
「人ってどんなに怖いことがあっても、死んだらそれが最後だと思ってた。だけど、もし死んでからも先があって、それもあんな風に続くのだとしたらと考えると、それが一番私は怖いんだ」
シノさんと会ったのはそれが最後である。
私にはシノさんのようにこの世のものでない者は見えない。
しかし、時々街で虚な顔の人を見かけると、あのシノさんが言っていた死の続きにいる者かもしれないと思えて、恐ろしかった。
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