六
「…結局はどういう事?」
見代塚区域から出て駅の近くのカフェに入ったが、まだ私は頭の中が整理出来ない。
「元々、あの『旧見代塚屋敷』に憑いているモノを取ろうと思っていたが、想像の何十倍も何百倍も強いモノだった。結局は何も祓えなかった。」
「つまり…、何も変わってない訳?」
「いや、凄く大きな所が変わった。それは『情報』だ。」
「情報が入ったからって、どうしようもないじゃん」
「情報は大きいんだ。例えば、希菜子。お前が親から『あなたの友達の◯◯ちゃんが死んだ』と言われたらどう思う?」
「そりゃあ、悲しむよ」
「そう、情報っていうのは人の感情を動かし、時には人を殺す。たった一つの情報で、人は大きく変わるんだ。その情報が嘘でもな。希菜子は見代塚区域をどう感じた?」
「なんか、居て不安になるような場所だった。少なくとも行きたいとは思わないかな。」
「それが判れば充分じゃないか?」
そう言って珠香は少し、微笑(ほほえ)んだ。
カフェを出て、夕日の差し込む電車に揺られながら帰る。この今日という一日は長いようで短かった。私達は電車で少し転寝(うたたね)をした。何もかも、全て夢だったんじゃないか。そんな感覚だった。
こうして、私達の「見代塚区域」の調査は幕を下ろした。
…筈だった。
第三章 とある区域の過去の話
一
「凸撃!心霊事件の真相」という心霊番組。その番組は突如(とつじょ)として終焉を迎える事となる。何故なら、その番組の制作者が皆、奇怪な死を遂げたからだ。その制作者等が亡くなる直前に作られた「凸撃!心霊事件の真相 箸の呪い篇」には謎の違和感が感じられる。これは、「凸撃!心霊事件の真相」に何があったのか調査する「心霊事件と箸の謎」という番組だ。
まず、この番組の制作者「角見賢哉・関宮和樹・見代塚孝介・綿岸春也・戸崎道彦」は、神奈川県石里市で眼球に箸が刺さった状態で発見されており、その中の見代塚孝介氏は亡くなる三ヶ月に失踪している。実は彼らの眼球に刺さっていた箸に他者の指紋が付着していたらしく、誰の物か検査したのだが、結局判らなかった。
そして「凸撃!心霊事件の真相 箸の呪い篇」。この回の前半は箸の話以外にも心霊写真や別の投稿された話を紹介し、至って一般的なホラー・ドキュメンタリーなのだが、後半から様子がおかしくなってくる。スタッフ・見代塚孝介氏から電話が掛かってくるシーンからだ。
以下、一部抜粋。
実家にいる筈の見代塚から電話が掛かってくる。
見代塚「ヤバいっす!とんでもない事が判りました!今すぐこの題材やめましょう!」
角見「やめ…はぁ!?取り敢えず何があったか話せ!」
見代塚「僕、戸崎さんの持って帰ってきた写真にどこか見覚えがあったんすよ!けど何だったのかは思い出せなくて、実家に帰って漸(ようや)く思い出したんです!あれ、僕の『先祖』の写真だったっす!実家の天井近くの壁にありました!」
角見「ちょっ、先祖?じゃあ、見代塚区域って…」
見代塚「あ、t…しら…、べ…てわかっ…たことが…あt」
電波が悪いのか電話にノイズが入る。
角見「すまん、接続が悪くて聞こえ無いんだが…」
見代塚「かたn…、はけ…はつ、ながっ…てます。ふ…れちゃい…、けないは…なしだっ…tn」
電話はそこで切れてしまった。
























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