※かなり長い怪談です。じわじわと不気味さが増していくタイプのホラーです。
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私の祖父は、生前ほとんど昔話をしない人だった。
戦争の話もしない。
若い頃の話もしない。
酒を飲んでも黙ったまま。
そんな祖父が、亡くなる半年前のある夜だけ、妙なことを言った。
「山の向こうから来るものだけは、絶対に家へ入れるな」
私は笑った。
「熊?」
祖父は首を振った。
「違う」
「人?」
「違う」
「じゃあ何?」
すると祖父は、私の目を見た。
今まで見たこともないほど真剣な顔だった。
「見たら分かる」
そう言って黙った。
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祖父が死んで三年後。
私は仕事を辞め、祖父の家を相続した。
人口数百人の山村。
コンビニまで車で三十分。
夜になると街灯すら少ない。
都会育ちの私には不便だったが、静かな暮らしは嫌いではなかった。
古い家を直しながら、リモートで仕事を始めた。
最初の一ヶ月は何も起きなかった。
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