奇々怪々 お知らせ

不思議体験

読書家さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

真夜中の留守番
短編 2026/06/15 18:17 67view

**「もう遅いかもしれない。」**

その瞬間、玄関の向こうから母の声が聞こえた。

「遥、見てるんでしょ?」

「開けて。」

「寒いの。」

遥は後ずさった。

すると今度はリビングの窓がコンコンと鳴った。

二階の窓も。

廊下の奥の窓も。

家中の窓を誰かが同時に叩いている。

震える手でカーテンの隙間から外を見る。

そこには――

母がいた。

庭にも。

駐車場にも。

道路の向こうにも。

何十人もの母が立っていた。

全員が同じ顔で、同じ笑顔を浮かべている。

スマホが最後に震えた。

母からのメッセージ。

**「家の中にいる“遥”は何人?」**

遥は凍りついた。

そのとき背後から声がした。

「ねえ。」

聞き慣れた自分自身の声だった。

「そのメッセージ、誰から来てるの?」

遥は振り返れなかった。
なぜなら、その瞬間。

スマホの送信者名が、

**『遥』**

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