一階に住む老婆。
桜井という名前だった。
マンション名と同じだ。
話を聞くと、
老婆は明らかに顔色を変えた。
「見たんか」
「何なんですか、あれ」
老婆は小さく震えた。
「四つ目様や」
「……は?」
「昔、この土地には蔵があった」
老婆はゆっくり話し始めた。
戦前。
この辺りには、
小さな宗教集団がいたらしい。
彼らは“四つ目様”という神を祀っていた。
目が四つある女の神。
その神は、
“見る”。
嘘も。
罪も。
心の中も。
そして、
見られた者は“向こう側”へ連れていかれる。
「向こう側って?」
「戻ってこれん場所や」
老婆は俺を見た。
「押入れ開けたな?」
俺は黙った。
「終わりや」
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