私の持つものに向いていた。
金。
地位。
価値。
「この案件なんですが――」
「次の投資の話を――」
声が重なる。
私はそこにいるのに、
そこにはいなかった。
(……ああ)
思い出した。
だから私は契約したのだ。
未来なら、
何かが変わるかもしれないと。
だが。
胸の奥の空白は、埋まらない。
さっきまで確かにあったものが、
綺麗に、抜け落ちている。
名前も思い出せない。
顔も思い出せない。
それでも分かる。
あれは、
私の来世の人生だった。
⸻
その時だった。
男の背後にある大型モニターに、
ニュース映像が流れ始めた。
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