正しい首の締め方

ある日の夜、夢を見た

夢の中では自分は複雑な家庭の一員で、歳の離れた弟がいた
その弟は7,8歳くらいで、どこにでもいそうな小学生、といった風貌だった
理由ははっきりとはわからないが、自分はその弟を殺さなければならなかった
また、弟自身もそのことに納得し、殺されることに不満はないようだった

夢というのは突拍子もないものも多く、こんな夢を見ることもあるだろうとは思う
しかし、そこから先は、少なくとも自分には理解できないものだった

少年は
「できるだけ苦しまずに死にたいから、首の締め方を教えてあげる」
と言った

自分は言われるまま首に手を掛け、力を込めた
少年は苦しそうな表情で、けれども口元は笑って
「…そ…れじゃ……い…ぎが…つまっ…で……くる……し…」
と訴えてきた
さらに少年は
「よ…この…けっ……が、ん…しめ…て……」
と指示をした

言われるまま首の両側の血管を人差し指と中指で塞ぐように締める
皮膚の下に柔らかく薄いビニールチューブのような感触がある
少年が

「だい、ぶ…よぐ…なったけ、ど…よわい…」
と言うと、少年の顔面が段々と赤黒く変色してきた
少年が「弱い」というので、両手の指を使って左右の血管を全力で潰した

少年の顔はさらに変色し、今度は両眼が真っ赤に充血しだした
少年は、
「けっ…か…ん、が、ちゃ…んと、し、まっ…て、るん、…だ…よ…」
と言った
少しの間、少年の身体は痙攣を繰り返した
そのうち、段々と力が失われ、ほとんど聞き取れない掠れた小さな声で
「あ、ぁ、…きも、ち…い、…」
と言ったかと思うと、少年の充血した目玉が上にぐるんと回り、動かなくなった
自分は、これで家族が救われる、と思い安堵した