「距離1500、仰角、偏差そのまま。射撃ヨシ」隊長が指示を出す。
「ルキフェル・・・アスタロト・・・ベールゼブブ・・・いざ蘇りし堕天の子らよ、我の元に集い汝らの力をここに宿せ・・・」
朽屋の指がスムーズにトリガーを弾く。青白い光跡を残しながら初弾が放たれた。
ガオンと大きな炸裂音をさせ、.338 ノルマ・マグナム弾が大気を切り裂きターゲットへ向かう。心配はいらない。相手に音が届く前に弾丸が届く。
邪神・アマルは今目覚めたばかりであるが、自分に向かって放たれた殺意にすぐに気が付いた。気が付いたというよりも、張り巡らせた結界に触れたものは自動的に撃墜するような力を持っていた。こちらを狙う石も矢も、もちろん弾丸も、すべて次元の断層に引きずり込んで消滅させてしまうのだ。いつものことだ。たとえ眠っていてもこれで100%防げてしまう。
そう思い、アマルはなんの警戒もしていなかった。神のミワザである。
ところが次の瞬間、弾丸はアマルの右目と、右の頭部に命中し、爆裂し、吹き飛ばした。
驚いたアマルは、残った左目で周囲を見渡し、1500M先の狙撃者、朽屋瑠子を見つけた。
そして口から何かを射出した。石のようなそれは、ライフル弾と変わらない速度で朽屋を目指す。アマルによる逆狙撃だ。
ところが・・・何かが飛んできたと感じた朽屋はそれを「ヒョイっ」と避けた。
避けると、飛んできた何かが朽屋の後ろ側にあった岩盤にビシっと音を立ててめり込んだ。
「ダイヤだ・・・ダイヤの原石が飛んで来たぞ」ミゲル隊長は以前目にしたことのあるベネズエラ産のダイヤの原石だとそれを見てすぐにわかった。
「トドメ!!」朽屋は次弾を撃ち放った。
邪神・アマルが張り巡らせた次元断層のバリアなど、朽屋の魔弾を止めるにはあまりにも力不足だったのだ。魔弾はそのままアマルの残った左頭部を直撃し、爆裂した。
アマルの体はぐずぐずと崩れるように崩壊して消えていった。
「・・・あわわわわ。か、神よ!!」神官は慌てた。
「い、今すぐ、これを!!」そう叫んで黒曜石のナイフを高々とかかげた。
テオの心臓をえぐりだし、捧げることで邪神をすぐに復活させられと考えてだ。
ナイフが振り下ろされようとした瞬間、神官は胸から血煙をあげ、吹き飛んだ。即死だ。
ミゲル隊長が同じく.338 ノルマ・マグナム弾を神官に叩き込んだのだ。
騒然とするステージ。
「ナイス、ミゲル隊長!!」と朽屋。
朽屋はもう1発準備する。腰のアルミ製パックの中から、真っ黒な.338 ノルマ・マグナム弾を取り出すと、その一発をMk22のマガジンに押し込んだ。
「なんだ、その弾丸は?」
「こんなこともあろうかと、特別に準備してきました」
そう言って朽屋はまたマジックスペルを唱えだした。
「いざ堕天の子ら地より蘇らん・・・人に災いなす者・・・偽らんとする者の魂を・・・
・・・汝の業火で焼き尽くせ!!」
























Manaです。自分で書いてて一番楽しい、朽屋瑠子シリーズ。今回は今年初めに大事件の起こったベネズエラを舞台に、朽屋の活躍を描いたものなります。少年と絡むことで、オネショタ好きな界隈には受けたかもしれないですね。途中から登場のミゲル隊長は自分の中ではランバ・ラルのイメージです。
ところで、自分的に一番ショックだったのが、これを書いてる最中にアメリカがイランを攻撃しちやって大変なことに・・・せっかく最新の戦場を描こうとしたのに、もう古くなってしまいました。
現実の方が物語より早いし、そんなシナリオ描けません。
まさかトランプさん、エプスタインとかから目をそらしたくてこんなことしてんじゃないでしょうね~なんて思ったり。
一応物語はフィクションということで、お楽しみいただければと思います。
・・・それでは、チャオ。