「どうだ、落ち着いたか? イケるか?」
「ありがとうございます、ミゲル隊長。おかげで震えが収まりました。イケます!」
「よーし、それでこそマリーンレイダースだ」朽屋の肩をぎゅっと握りしめて鼓舞する隊長。
もう一度スコープを覗く朽屋。
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マドゥロは思わず立ち上がり、神官の元へ歩み寄った。
「オイ、神官! なんだその子供は! 聞いてないぞ! ワシは生贄に動物を用意しろと!!」
神官が杖をマドゥロに向かってビシっと指す。
「神はお怒りです。閣下の夢にもお告げをしているはずです。もう動物の心臓では神のミワザを維持することはできないと!!」
「だからと言ってヒトの子など・・・そ、そうだ、猿はどうだ?人間の代わりにならんか!?」
必死に食い下がるマドゥロ。目の前で子供が殺されるシーンなど見たくもないのだ。
「お座りください、閣下。もう儀式は始まっているのです。神が降臨します」
「な、なんてことだ・・・」頭を抱えて椅子に崩れ落ちるマドゥロ。
(おぉ、神よ・・・どうかあの子供をお救いください!!)
邪神に生贄を捧げておきながら、カトリックの神に祈りをささげてしまうマドゥロ。
思わず目をつぶって、両手を握りしめる。
邪神や悪魔にとって、本当は生贄の心臓などどうでもよいのだ。
感謝や信仰が神の力になるように、恐怖や憎悪といったマイナスの心が悪魔の力になる。
だから最初は動物でもよい。が、それもだんだんと慣れてしまった状態ではマイナスのエネルギーも生まれない。だからこそ、ここで人間の心臓が必要になってくるのだ。
だが、所詮それが効くのも時間の問題。人間の心臓を捧げるのが当たり前になれば、やはり邪神のエネルギーにはならなくなる。恐怖の鮮度が落ちてしまうのだ。結局最終的には人民を無差別に大虐殺するようになっていく・・・。そうして、ひとつの文明が終わるのだろう。
テオが石のテーブルの上に寝かされ、手足を四隅に固定される。
気を失っているのか、この状況に無反応である。
やがて神官の周囲に黒い霧のようなものが立ち込めた。
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スコープをのぞく朽屋にはハッキリと見えていた。
テオをテーブルにしばりつけ、今まさに儀式を執り行おうとしたその時、
後方の邪神像から魔物が湧き出してくるのを。

























Manaです。自分で書いてて一番楽しい、朽屋瑠子シリーズ。今回は今年初めに大事件の起こったベネズエラを舞台に、朽屋の活躍を描いたものなります。少年と絡むことで、オネショタ好きな界隈には受けたかもしれないですね。途中から登場のミゲル隊長は自分の中ではランバ・ラルのイメージです。
ところで、自分的に一番ショックだったのが、これを書いてる最中にアメリカがイランを攻撃しちやって大変なことに・・・せっかく最新の戦場を描こうとしたのに、もう古くなってしまいました。
現実の方が物語より早いし、そんなシナリオ描けません。
まさかトランプさん、エプスタインとかから目をそらしたくてこんなことしてんじゃないでしょうね~なんて思ったり。
一応物語はフィクションということで、お楽しみいただければと思います。
・・・それでは、チャオ。