本が、そう私に囁いています。
私は、かつて存在した「クラス」という幻を思い出そうとします。
友達の笑い声、並べられた出席番号。
でも、名簿を開くと、私の名前だけが、雪解けのように消えている。
最初から、この世に私なんていなかったみたいに。
けれど、私はここにいます。
黒板には、私が愛した言葉が、呪文のように幾重にも書き込まれている。
世界は二つに分かれています。
清らかな方と、汚れた方。
信じる者と、堕ちる者。
私と、それ以外。
私は「清らかな方」にいます。いなければいけないんです。
そうじゃないと、あの廊下の声に、肉を削ぎ落とされてしまうから。
今、こうして書いているこの日記も、本の最後のページと同じ、震えるような美しい字になっています。
ふと見ると、隣のページには、私じゃない誰かのために、もう言葉が用意されていました。
「次は、あなたです」
誰のことでしょうか。クスクスと笑いが止まりません。
廊下の足音が近づいてきます。
ゆっくりと、私を迎えに来る、死神のような優しい足音。
もし明日、私の席が綺麗な空洞になっていたら、それは「完成」の合図です。
世界は、ちゃんと、美しく二つに分かれたのですから。
[月うさぎ ◆x7J8mY2Q]
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