俺は高校生の頃、警察から感謝状を貰い地元の新聞にも載ったことがある。
歩道橋から身投げしようとした男を止めたということで。
俺はまさに飛び降りようとしている30代位のサラリーマン風の男を羽交い締めにして地面に組み伏せ、無我夢中で叫んでいた。
「死んじゃダメだ!生きてれば絶対良いことあるから!」
騒ぎを聞きつけた周りの人が通報してくれてすぐ警官が来て男を保護して事なきを得たけど、間違いなく首吊り男は、あの時飛び降りようとしてた男だ。
(良いことなんてやっぱり無かったよ)
って、絞り出すように呟いたんだから。
あの男の霊はただそれを俺に伝えたかっただけなんだと思う。
その証拠にその日からもうぱったりと姿を見せなくなったからな。
人命救助で俺は周りからちやほやされてヒーロー気取りだったけど、でもそれでハッピーエンドなんてあり得なかったんだ。
だって人生はその後も続くし、当人が抱えた苦しみや絶望が和らいだり無くなる保証なんてどこにもないんだぜ。当たり前じゃないか。
でも許してくれ。当時の俺はそれが分かるほど大人じゃ無かったんだよ。
そういうことがあったから、薄情と言われようが俺は自殺しようとしている人を見かけても決して関わらず、見て見ぬふりする事を心に誓っている。
この先ずっと、な。
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