「外見てみろよ。お前には見えないかもしれないけど、あの女がいるんだよ。ずっと俺を見張っているんだよ!」
ここまで怯え切った重田を見るのは初めてでした。憔悴しきった重田の姿を見て、僕は部屋を飛び出して、重田のお母さんに直談判しました。
「おばさん、今日泊ってもいいですか?」
そうして僕はその晩、重田の家に泊まることにしました。
夕ご飯をご馳走になり、お風呂を頂戴し、夜も更けてきた午後23時過ぎでした。
「ヒイッ!」
重田が耳を塞いで怯え始めました。
「鳴ってる・・・電話が鳴ってる・・・」
1階にある固定電話が鳴っていると重田が怯え始めました。しかし、僕には聞こえません。重田を残し、僕は1人階段を下りることに。
ギィ・・・ギィ・・・ギィ・・・
古い木造家屋の階段ですから、一歩一歩踏みしめるごとに音を立てる。階下は既に寝静まっており、電気は消えて真っ暗でした。階段を下りて玄関横にある電話に目をやりますが、鳴っている様子はない。私は恐る恐る電話を手に取りました。受話器に耳を当てますが、何も聞こえない。やはり重田の妄想なのか幻聴なのか・・・しばらく耳を当てていると何か聞こえてきました。
「イケナイ・・・イケナイ・・・」
その声ははっきりと背後から聞こえました。後ろを振り向くと、重田が白目を剥いて立っていたんです。
「うわ!」
その姿に思わず僕は受話器から手を放し、玄関へと尻もちをついた。重田は「イケナイ・・・イケナイ・・・」といいつつ、ブランブランと宙吊りになって揺れる受話器を手に取って耳に当てました。
「うん・・・イケナイ。イケナイ・・・イケナイ」
そう二言三言口にすると、そのまま玄関から外に出て行きました。
「重田!!」
腰が抜けたのか立ち上がることができない僕の横を通り過ぎ、そのままどこかへと走り去っていく重田。騒ぎを聞きつけたのか、廊下の奥がぼんやりと明るくなったかと思ったら、おばさんとおじさんが玄関に駆けてきました。
「おばさん!重田が!玄関からどっかに」
言い切る前におじさんが玄関を飛び出した。おばさんの手を借りて立ち上がり、僕は一連の経緯を話しました。おばさんは半信半疑ながらもサンダルを履き、僕と一緒に外に飛び出しました。おじさんが通りの向こうから戻ってきますが、息を切らしながら首を横に振っていました。
それからおじさんと車に乗り重田を探しに。おばさんは警察に通報するといい、家に残りました。夜通し探しましたが、結局重田は見つからなかった・・・。それから1週間後、例の“呪いの池”近くで重田は見つかった。帰らぬ人として。
死因は“溺死”でした。重田は水辺でも何でもない場所で溺死していたのです。
どこかで溺死させられて遺体を遺棄されたのでは?と事件を疑う声もありましたが、警察の発表では事件性はなく、あくまでも“事故”ということだったと聞きました。
親友を失った悲しみは計り知れませんが、この話はもう少し続きがあります。実は重田が僕の夢に現れたんです。無表情で「イケナイ・・・イケナイ・・・」と悲しそうに呟くんです。何が“イケナイ”のかさっぱりわかりません。その後も何度も同じ夢を見ました。

























小さいころからの親友なのに苗字読みは嘘くさくなる
怖い
普通に怖い😱
イケメンナイ