「重田!!」
腰が抜けたのか立ち上がることができない僕の横を通り過ぎ、そのままどこかへと走り去っていく重田。騒ぎを聞きつけたのか、廊下の奥がぼんやりと明るくなったかと思ったら、おばさんとおじさんが玄関に駆けてきました。
「おばさん!重田が!玄関からどっかに」
言い切る前におじさんが玄関を飛び出した。おばさんの手を借りて立ち上がり、僕は一連の経緯を話しました。おばさんは半信半疑ながらもサンダルを履き、僕と一緒に外に飛び出しました。おじさんが通りの向こうから戻ってきますが、息を切らしながら首を横に振っていました。
それからおじさんと車に乗り重田を探しに。おばさんは警察に通報するといい、家に残りました。夜通し探しましたが、結局重田は見つからなかった・・・。それから1週間後、例の“呪いの池”近くで重田は見つかった。帰らぬ人として。
死因は“溺死”でした。重田は水辺でも何でもない場所で溺死していたのです。
どこかで溺死させられて遺体を遺棄されたのでは?と事件を疑う声もありましたが、警察の発表では事件性はなく、あくまでも“事故”ということだったと聞きました。
親友を失った悲しみは計り知れませんが、この話はもう少し続きがあります。実は重田が僕の夢に現れたんです。無表情で「イケナイ・・・イケナイ・・・」と悲しそうに呟くんです。何が“イケナイ”のかさっぱりわかりません。その後も何度も同じ夢を見ました。
そうして先月です。僕は夢のなかで妙な池を目にしました。幻想的で神秘的な林の中の池。月明りに照らされたその池を囲むように数人の男女が立っていました。
その輪に加わるように重田が僕の腕を掴んだ。僕の腕を掴んだ重田の手は、まるで凍ったように冷たかったのを覚えています。その手を僕は必死に振りほどこうとしました。何故って?だって重田はこう僕に言うんです。
「イケナイ・・・イケナイ・・・あの世にイケナイ」
僕は成仏できない重田に連れていかれるかもしれません・・・。


























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