奇々怪々 お知らせ

呪い・祟り

とくのしんさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

イケナイ
長編 2026/02/01 09:04 227view

「あの晩、俺たち3人は例の心霊スポットに行ったろ。あそこでさ、俺は呪われたかもしれない」
「どういうこと?」
「付き合いが一番長いし、俺はお前を親友と思っているから聞いて欲しい。
あの晩、お前たちと別れたあと、峠道を進んで例の心霊スポットがある3つ目のトンネル手前まで着いてさ。多少怖かったけど、そこらへんを探索したんだ。でも特に何もなかった。それじゃ帰ろうかってときに電話ボックスから電話が鳴る音が聞こえてきてさ。2人は気づいている様子が無かったんで、最初は俺を揶揄う演技かと思った。でも本当に聞こえていない様子でさ。いつまでも鳴り続けているし、ここまで来て何もないっていうのもなぁって思って、電話に出てみることにしたんだよ。そしたらさ・・・

イケナイ・・・イケナイ・・・

って女の声がしたんだ・・・噂通りにさ。マジで怖くなったんだけど2人の前だし、怖がらせないようにって俺も演技したんだわ。何が”いけない“かって聞いたらさ・・・”こっちに来たらわかる“って言ってきた。

電話を切って脇道に目をやったら女がいてさ、手招きしてた。そこで帰ればよかったんだけど2人がさ、せっかくだから脇道を進もうって言いだしてさ。言い出しっぺは俺じゃん?ここまで来て“行けない”とは言えなくて・・・それで俺も行ったんだよ。

進んでいくとさ、行き止まりに本当に池があった。でも不思議と2人は見えている様子はない。2人して「何もない」って言ってたし。対岸みたらさっきの女が手招きしてた。もう逃げ出したかったんだけど、池を見たらその女の姿は映っていない。俺も映っていなかった。
全部、噂通りでさ。そこから俺たちは何事もなかったように帰ってきたんだけど・・・」

「それで呪われたかもしれないって具体的にどういうことなんだよ」

「電話がさ、毎晩・・・毎晩掛かってくるんだよ。俺にしか聞こえない電話がさ」
「そんなわけ・・・」
「本当なんだ。俺にしか聞こえない。でも怖くて出ることができない」
「それなら家にいたらまずいんじゃないか?」
「外見てみろよ。お前には見えないかもしれないけど、あの女がいるんだよ。ずっと俺を見張っているんだよ!」
ここまで怯え切った重田を見るのは初めてでした。憔悴しきった重田の姿を見て、僕は部屋を飛び出して、重田のお母さんに直談判しました。
「おばさん、今日泊ってもいいですか?」

そうして僕はその晩、重田の家に泊まることにしました。
夕ご飯をご馳走になり、お風呂を頂戴し、夜も更けてきた午後23時過ぎでした。
「ヒイッ!」

重田が耳を塞いで怯え始めました。
「鳴ってる・・・電話が鳴ってる・・・」
1階にある固定電話が鳴っていると重田が怯え始めました。しかし、僕には聞こえません。重田を残し、僕は1人階段を下りることに。

ギィ・・・ギィ・・・ギィ・・・

古い木造家屋の階段ですから、一歩一歩踏みしめるごとに音を立てる。階下は既に寝静まっており、電気は消えて真っ暗でした。階段を下りて玄関横にある電話に目をやりますが、鳴っている様子はない。私は恐る恐る電話を手に取りました。受話器に耳を当てますが、何も聞こえない。やはり重田の妄想なのか幻聴なのか・・・しばらく耳を当てていると何か聞こえてきました。

「イケナイ・・・イケナイ・・・」

その声ははっきりと背後から聞こえました。後ろを振り向くと、重田が白目を剥いて立っていたんです。

「うわ!」
その姿に思わず僕は受話器から手を放し、玄関へと尻もちをついた。重田は「イケナイ・・・イケナイ・・・」といいつつ、ブランブランと宙吊りになって揺れる受話器を手に取って耳に当てました。
「うん・・・イケナイ。イケナイ・・・イケナイ」
そう二言三言口にすると、そのまま玄関から外に出て行きました。

3/4
コメント(0)

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。