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呪い・祟り

とくのしんさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

イケナイ
長編 2026/02/01 09:04 189view

「なーんだ。てっきり何か見たかと思って心配したよ」
そういう僕に、2人は何もなかったと重ねて強調しました。だとしたら夏風邪でも引いたかな?そう思っていたんですが、翌日もその翌日も重田は部活に来ることはなかった。
さすがに心配になった僕たちは、重田の家に向かったのです。

重田の家のインターホンを鳴らすと、重田のお母さんが出迎えてくれました。
「あら、みんないらっしゃい。あの子、風邪ひいちゃってね。良かったらあがっていって」
そう言って僕たちを家にあげてくれました。

居間に通され、麦茶とお菓子を出してもらい重田を待っていると

トントントントン・・・

階段をリズミカルに下りる足音が聞こえ、重田が居間にやってきました。
「おう、わざわざ見舞いにきてくれて悪いな」

姿を見せた重田はいつもとおりに元気そうでした。みんな「仮病で休むなよ」とか「さぼりかよ」と悪態をつきつつも重田の元気な姿を見て安心しました。一同が集まって部活がどうとか夏休みが終わるとか、そんな話を始めました。

他愛のない話が進むにつれ例の心霊スポットの話になりました。ただの噂話だったことに行った3人は騙された気分だと憤りを見せていると、重田のお母さんが「あんなところに行くんじゃないの!」と一喝。重田は少々バツの悪そうな表情を浮かべていました。

何もなかったというオチで終わる話なのですが、そこからは面白おかしな考察やらが始まりました。
「そういやさ、噂話に出てくる女が口にする“イケナイ”ってどういう意味なんだろうな?」
「こっから先に行っては“イケナイ”じゃないの?」
「いや、違うね。俺らも行ってわかったけど、池がないから“池無い”ってことだろ?」
「あはは!それ正解だろw」
「そういや重田、電話ボックスで電話する真似してたじゃん?あれでお前も“イケナイ”て言ってたけど、ありゃどういう意味よ?」
「そりゃあ・・・声だけじゃ“イケない”って意味に決まってんだろ!」
一同大爆笑。重田の下ネタに大ウケしたあと、僕らはそれぞれ家に帰りました。

それから数日後でした。重田は相変わらず部活にやってくることはなく、心配になった僕は1人重田の家に向かいました。夕暮れどき・・・綺麗なオレンジ色の夕日を眺めながら自転車を漕いでいたんですけど・・・なぜかそのとき何か凄い胸騒ぎがしたんです。
重田とは連れの中で一番仲が良かった。保育園からずっと同じクラスだったし、親同士も仲が良い。だからこそ、数日前に重田に会った時にある違和感に気づいていた・・・。

「そのときは言えなかったんですけど、重田の様子が少しおかしかったんです。何ていうんですかね、あいつ困ってるときに妙に威勢が良くなるというか、虚勢を張る癖があって」
思い返せば電話ボックスでの件、重田の電話でのやり取りについて話が振られたときにその癖が出ていたんです。普段は下ネタなんてあまり言わないヤツが急に口にして。おかしいなとは思ったんです。ただ、そのときは笑って済ませたんですけど、あのあとも部活に出てこないことからやっぱり何かあったんだ・・・って思って。

重田の家に着きインターホンを鳴らす。すると重田のお母さんが出迎えてくれた。
「ごめんね、義弘まだ調子悪くて寝ているのよ」
そういって遠回しに僕に帰るよう促してきました。無理にでも会おうと思ったんだけど、おばさんの表情がどこか暗くてそれ以上言えなかった。仕方なく僕が帰ろうとしたときでした。重田が弱々しい姿を見せたのです。

「心配かけてごめんな・・・」
部屋にあがった僕に開口一番、重田は謝罪の言葉を述べました。数日前までは血色の良かった顔が、青白くげっそりとしていた。
そのことに触れようとしたとき「実はな・・・」と重田が先に話を始めました。

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